兵家 諸子百家

007諸子百家1 孫子

2024年1月10日

諸子百家について書いていきます。
第一回は孫子編。
孫子からスタートはあんまり聞いたことないですが、
完全に好みからのアレです。

孫武 紀元前535年頃~没年不詳

孫子 の呼び名で知られる孫武は、
約2500年前、中国古代・春秋戦国時代の武将・軍事思想家。
兵法書として名高い「孫子」の作者とされており、
兵家の代表的な人物です。

兵法書としての「孫子」は「武経七書」の一つで、
洋の東西を問わず多く読まれている最も著名な一冊。
現代でもビルゲイツや孫正義など有名人が愛読し、
その教えは軍事のみならずビジネスでも役に立つ書物として広く知られています。

「孫子」はそれまでの戦争についての考え方を変えた一冊であり、
戦いの勝敗=天運に左右されるもの という考え方が強かった当時において、
孫武は戦いを分析・研究することで、
戦いとは運ではなく人為によるものであり、
勝つため(負けないため)の方法を理論化したのです。

孫子の兵法の大まかな特色は以下のとおり。

1.戦争が経済に及ぼす悪影響を強調する。
戦争には莫大な物資を消耗し、人員や戦費の負担も国家経済を疲弊させる。
戦争がもたらす否定的な側面を直視することを求める。

2.戦争を単なる軍事力の衝突ではなく本質は詭道(敵を欺くこと)である。
国家が戦争をする目的は敵国との利益の争いである。
敵に利益を獲得させず、また経済的損失が大きい正面衝突を避けてコストをかけずに敵を屈服させるのが最善。
正々堂々と戦うことを重要視する者は用兵家としては失格である。

3.短期決戦の重視。
ただでさえ経済的損失が大きい戦争において損害をできるだけ減らすためには
長期持久戦を避け短期に集結させなければならない。

4.短期決戦のために努めて攻城戦を回避。
わざわざ敵が厳重に防備している砦に攻めかかる戦法は
兵員や物資に大きな損失を招くので攻城戦は下策であり、
野戦で勝敗を決するように説く。

5.自国内での防衛戦は避け、敵国奥深く遠征すべき。
国内で防衛戦を行うと兵は妻子や故郷を慕って逃亡し戦意が下がる。
敵国奥深く遠征すれば逃げ場を失った兵士は結束し戦意も高揚する。
また、国内深く攻め込めば敵も主力を繰り出して侵攻を阻止しようとするので、
主力同士の決戦となり短期の決着が期待できる。

6.誘い出した敵の主力を分断し相対的優勢を確保して各個撃破せよ。
戦争全体を短期終結させるため、最終勝利に結びつかない局地戦は避けて
敵主力軍との決戦に持ち込まなければならないが、主力同士でぶつかると自軍が被る損害も大きい。
敵の不意を衝く奇襲攻撃や敵軍の攪乱にて各個撃破できる体制を作り出す。

7,情報戦を重視する姿勢。
高いコストを払わずに破る為には敵を罠にかける必要がある。
敵の実情を正確に把握し事前に計謀を練らなければならない。
合わせて敵にこちらの状況や意図を察知されないように秘匿する。
そのために諜報員や工作員を潜入させて情報戦に勝利すること。

8.軍事力の使用には慎重な姿勢で臨む。
軍事力の使用とは大きなコストとリスクをはらむので、
損失に見合うだけの利益が見込めるかが重大な問題である。
軽はずみに開戦せず、事前に十分なシミュレーションをしたうえで
十分な勝算が立った場合にのみ開戦すべきである。

簡単に孫子についてと孫子の兵法についてご案内しましたが、
私が一番好きな一節をご紹介します。

「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり、戦わずして彼の兵を屈するは善の善なる者なり。」

100回戦って100回勝ったとしてもそれは最善というわけではなく、
そもそも戦わずに敵を屈服させること最善ですよ。という意味になります。
戦争というものは、いざ始まると勝っても負けても損害や負担は大きいもの。
歴戦を重ねて勝ち続けても消耗したところを新興勢力や第三者にいいところをさらわれたりもします。
仕事や日常生活でも争いになると勝ち負けだけでなく、精神的にもすり減りますよね。
そもそも、国やチームの運営は戦いだけではないので、
無駄な戦いを避けるに越したことはありません。

孫子は言います。
図上演習で勝つのは勝算が相手よりも多いからで、
図上演習で勝てないのは勝算が相手より少ないから。
勝算が多ければ実戦でも勝つし、少なければ負ける。
勝算がないなら話にならず、戦争の勝敗は予測の段階ですでに見えている。
「やってみないとわからない」とか言ってるヤツは戦を指導する資格がない。と。

また、最高の用兵とは敵国の策謀を事前に察知して未然に打ち破ることで、
そもそも戦争の形にならず、目に見えない勝利を収めるやり方といえます。
次善の策は敵国の同盟関係を解体して孤立させることで戦意を挫くこと。
いずれも「戦わずに勝つ」ことであり、
普段から準備して相手が戦いたくないような構図を作っておくことも重要です。

日常や仕事のマネジメントにも役立つ考え方がたくさんあってとても面白く、
いざという場面に備えての自分の立ち回り方や心構えについて学ぶことが多いと思います。
トラブルをきれいに収めたり、そもそもトラブルの芽をつんだりと、
作戦だてた行動ができるので精神的にも楽に仕事に取り組むことができると思います。

いろいろな場面で役に立つ「孫子」。
是非チェックしてみて下さいませ。

参考文献:「諸子百家」浅野裕一(講談社)


※記事については、 学術研究ではなく、
エンターテインメントとしてご覧いただけましたら幸いです。

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