北欧神話 神話・伝説

29 北欧神話シリーズ9 バルドルについて

2024年3月4日

バルドル(古ノルド語:Baldr、Baldur、英語:Balder)は、北欧神話の光の神。
最高神オーディンと妻フリッグの息子です。

バルドル

上述の通り、最高神オーディンと正妻のフリッグの間に生まれた神なので、
北欧神話に登場する神の中でも一番のサラブレッド。
超エリートですね。
バルドルの妻は女神ナンナ、
子供は「正義、平和、真実」を司る神のフォルセティです。
息子、非の打ち所がないな!

バルドルはログ湖(現在のスウェーデン、メーラレン湖)という湖のほとりに建てられた
ブレイザブリクという館に住んでいます。
なお、「ブレイザブリク」とは、「幅広き輝き」という意味だそうです。

便利だったりチートだったりなアイテムが出てきがちな北欧神話ですが、
バルドルもすごいのを持っています。
それは、フリングホルニという船で、世界のどの船よりも大きいというものだそうですよ。

バルドル

正統派イケメン。

伝えられているところで、バルドルは、
最も賢明で、美しく光り輝く美貌と白いまつ毛を持ち、
雄弁で優しいとされています。

そして、性格はやや優柔不断な面もあったものの、
平和を愛する優しい神で、彼の裁きは不変であるといわれています。
両親は神々のトップ、良い家庭環境で素直に育つと、完璧超人が完成しますね。

バルドル

ロキにハメられる。

今までの回でも何度か出てきましたが、
バルドルはロキの策略によって死に追いやられてしまいます。

ある日からバルドルは自分が死に瀕している暗示のような悪夢を見ます。
心配したお母さんのフリッグは、
世界中の生物・無生物に彼を傷つけないよう約束させるという過保護ムーブを炸裂させます。
ちょっと欲しがり過ぎじゃないかしらとも思いますが、
そのおかげでいかなる武器や物でも彼を傷つけることは出来なくなりました。
たったひとつ、若すぎて契約が出来ていなかったヤドリギを除いて。

ロキ回でも触れましたが、
北欧神話の神々はモラル的な面でだいたいみんながアレなので、
傷つかなくなったバルドルを祝い、
みんなでバルドルに様々なものを投げつけるという娯楽、
人呼んでバルドルチャレンジが大いにバズります。
※私が勝手にそう呼んでいるだけです。悪しからず。

バルドルは神々の中でもっとも美しく万人に愛されていたのですが、
それをよく思わないのがロキです。
ただでさえハイスペックイケメンなのにさらにちやほやされているので、
イラっとする気持ちはわかりますが。

ヤドリギのことを知った彼は、
盲目のためにバルドルチャレンジに参加していなかったバルドルの兄弟神の
ヘズをたぶらかし、ヤドリギ(ミスティルティン)を投げさせました。

ミスティルティンは矢となってバルドルに命中。
これにより、かわいそうにバルドルは命を落としてしまったのです。

これはもう、一線を超えてます。

バルドル

ロキのせいで生き返れない。

これを嘆いたフリッグママ。
フリッグの嘆きに応え、バルドルの弟ヘルモーズは兄を生き返らせてもらえるよう、
死の国ヘルヘイムへ向かいます。

ヘルヘイムを治めるのは女王ヘル
ちなみにロキの娘で、例の3兄弟の末っ子です。
ヘルモーズをの頼みを聞いたヘルは
「本当に、全世界の者が彼のために泣いているというならば生き返らせてやんよ」
と約束してくれました。
ちょっと無茶な条件付きとはいえども、意外とやさしい。

フリッグの頼みで、本当に全世界のあらゆる生物・無生物が彼のために泣きました。
バルドルがいかに愛されていたかがわかります。

ところが、たった一人、女巨人セックだけが泣かなかったので、バルドルは戻ってこれず。
このセック、正体はもちろんロキです。
ほんとにもう。

もちろんこの悪行はバレて、
ロキは神々に捕らえられ罰を受けることになりました。
そう、拘束されて「顔に毒蛇の毒がかかって痛たたた」の刑です。

バルドル

ラグナロクの後に復活。

バルドルの死によって光を失った世界は、やがてラグナロクを迎えます。
忘れてましたがバルドル、光の神でした。

バルドルが去った世界では、風の冬剣の冬狼の冬と呼ばれる恐ろしい冬が始まり、
神や人々が待ち焦がれる夏は訪れず、人々のモラルは崩れ去り、生き物は死に絶えてしまいます。
太陽と月はフェンリルの子、スコルとハティに飲み込まれて星は天から落ちます。
大地と山が震えて木々は根こそぎ倒れ、
山が崩れてあらゆる命が巻き込まれ、消えてしまうのでした。

全ての戒めが解かれ、ロキは神々の敵である巨人達と手を組んで、
冥界の死者の大群とともにアースガルズに攻め込んでくるのでした。
これまでにも何度も書いてきましたが、
ラグナロクではオーディンをはじめとして多くの神が死に、
世界は燃え尽き、海に沈んで滅びます。

しかしその後やがて世界は復活し、新しい大地が浮かんでくると、
バルドルはヘズと共によみがえり、
新しい世界を治める神となるのでした。

最後はどこかで聞いたような話ですが、
罪のない正しい者が一度死んだ後に復活するというところは、
キリスト教の伝播に伴ってその影響を受けたものとも考えられているそうです。


さてさて、続けてきた北欧神話シリーズ。
とりあえず今回で一区切りです。

荒くれ者や怪物たちがヤンチャして主要キャラ全滅という、
わりと豪快でパワー系なストーリーですが、
最終的には正しい者が新しい世界を作るというところが象徴的です。

古今東西、神話とは歴史を暗示するもの。
北欧の厳しい自然環境のなか、侵略や略奪戦争が当たり前な時代から、
時を経て平和な時代になっていく、という歴史を物語っているのかもしれません。

今回も内容は Wikipedia 中心に仕入れてきました。

バルドル-Wikipedia-

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