北欧神話 神話・伝説

22北欧神話シリーズ2 トールについて

2024年2月15日

トールは北欧神話に登場する神で、神話の中でも主要な神の一柱。
神々と敵対している巨人達と対決する戦神として活躍し、
考古学的な史料では雷神・農耕神として北欧を含むゲルマン地域で広く信仰されたといわれています。

トール


トールの名前ですが、「」を意味していると推定され、アルファベット表記は「Thor」。
英語読みに由来する「ソー」、「ソア」の表記も見られ、
アメリカン・コミックスの『マイティ・ソー (The Mighty Thor) 』の主人公としても有名。

また北欧ではトールにあやかって、男性の名前としても定着しており、
「トール」や「トル」という方も多いです。
「トールの石(Ðórsteinn)」を意味するトルステン(Torsten,Torstein)は、
北欧諸国とドイツ語圏に多く、
英語に転訛したダスティン(Dustin)も男性名として定着しています。

ちなみに北欧神話に登場する神、テュール (Týr) やソール (Sól) とは別人になります。
名前が似ているのでややこしめです。

トールのプロフィールも紹介しましょう。
彼は、オーディン回でも触れた アース神族 の一員で、
雷の神にして北欧神話最強の戦神。

雷神ということで、ギリシア神話のゼウスやローマ神話のユーピテルとも同一視されており、
特に農民階級に信仰された神様だったようです。
元来は最高神のオーディンと同格以上の地位があったようですが、
時代とともに戦士階級の台頭によってオーディンの息子の地位に落ち着いていったようです。

北欧だけではなくゲルマン全域で信仰され、
上記の通り男性名や地名にも多くの痕跡が。
その他にも、木曜日を意味する英語 Thursday やドイツ語 Donnerstag などは、実はトールが語源だそうです。

トール

トールの外見と性格

外見は燃えるような目と赤髪を持つ赤髭の大男。
砥石(もしくは火打石のかけら)が頭に入っており、
いまいちよくわからないけど、なんだかすごそうです。
見るからにパワー系のトールですが、
力はアースガルズのほかのすべての神々を合わせたものより強いとされ、
力自慢のたくさんの巨人たちを倒し、神々と人間を巨人から守る要となっています。

性格は豪胆あるいは乱暴。
武勇を重んじるナイスガイですが、単純で怒りっぽいのが玉にキズ。
何かにつけては愛用の武器である ミョルニル を使って脅しに出る傾向がありますが、
怯える弱者に対して怒りを長く持続させることはなく、切り替えは早い方です。
あと、途方もない大食漢。とのこと。

トール

ミョルニル

愛用の ミョルニル は柄の短いハンマーで「打ち砕くもの」という意味があり、
トールハンマー、ムジョルニアとも呼ばれています。
これまた魔法的なアイテムで、
「思う存分に打ちつけても壊れない」
「投げても的を外さず再び手に戻る」
「自在に大きさを変え携行できる」

という超つよハンマー。
ものすごく重く、しかも真っ赤に焼けているので、
メギンギョルズという力を倍加させる力のベルトと、ヤールングレイプルという鉄の手袋が必要。
「アースガルズのほかのすべての神々を合わせたものより強い」トールでも
素手では使えないという、どんだけアイテムです。

また、柄がかなり短いという欠点もあります。
本来は重い槌部分に見合う長い柄が付くはずだったものの、
ロキ の妨害のせいで柄は短いままになってしまい、元の仕様バランスがの悪いものとなっています。

トール

トールの家族とペット

トールのお父さんはオーディンでお母さんがヨルズ。
奥さんはシヴで、息子はモージとマグニ、娘がスルーズです。
シヴの連れ子のウルもトールの家族。

また、シャールヴィとレスクヴァという二人の従者もいて、
アースガルズのスルーズヴァンガルにあるビルスキルニルという宮殿にお住まいです。

ペットはトールの戦車をひく二頭のヤギがいて、
名前は タングリスニ と タングニョースト。
トールが空腹になると彼らは食べられる。」ということでおやつも兼ねています。
扱いについて、さっそくツッコミどころではありますが、
骨と皮さえ無傷であればその2つから再び戦車を牽かせるために再生されるそうです。
不憫!
なお、この戦車が走る際に立てる轟音が雷鳴とされています。

オーディンと同じく、やっぱりトールもアレなところがありますが、
まあ腕っぷしが強い分、さらにアレです。
そんなエピソードをご紹介。

トール

1ヨルムンガンドを釣り上げる。

ある日、宴会のための大鍋を借りようと、トールと軍神テュールは巨人のヒュミルを訪ねます。
トールとテュールでややこしいですが、
テュールのお父さんがヒュミルという、また微妙にややこしい感じ。
ヒュミルの館でなんやかんやあって、トールはヒュミルから釣りに誘われて海に出ます。

ヒュミルが飼っている牛のうち最も大きいやつの首を餌にして釣りをしているとさっそくHIT、
世界をぐるっと取り囲む大蛇 ヨルムンガンド がかかりました。
いや、神話ですか?というレベルの大物ですが、実際、神話でした。

ここは怪力のトール、
舟板を破って海底に足が着くほど強く踏ん張り、ヨルムンガンドを引き上げます。
サイズ感がいろいろバグっています!
見事釣り上げるも、ヨルムンガンドも必死の抵抗。
ミョルニルで一撃をお見舞いしてとどめを刺そうとした瞬間、
この光景に恐れをなしたヒュミルがナイフで釣り糸を切り、
ヨルムンガンドは海中に逃れていきました。
怒ったトールはヒュミルを殴りつけ船の外にぶっ飛ばす!というお話。

トール

2外壁工事踏み倒し事件

ヴァン神族との戦争でアースガルズの城壁が壊れてしまいました。
困ったアース神族達は、通りかかった巨人の鍛冶屋に修理を依頼。
業者巨人は報酬として、女神フレイヤ をもらう。ということで見積り、
神々もOKしましたが、

滞りなく修理完了しましたが、
神々は予定通りの支払い拒否。
業者巨人はトールによって始末されてしまいました。
支払先がいなくなってしまったのでまあしゃあないよねー。

あれかな、マフィアかな?
全面的に悪いですが、まあ、神話なので。

トール

3ミョルニル盗難事件

ある日、トールが目覚めると、大事なミョルニルがない!
上記の通り、ミョルニルはやべー武器なので、神々界隈も騒然。
ロキの申し出で捜査が開始され、どうやら巨人の王スリュムのところにあるようです。
ロキがスリュムの元に行くと確かにあり、本人のも盗んだことを認めたので、
犯人はスリュムであることが判明。
しかしあろうことか、スリュムは、
「返してほしければ女神フレイヤと結婚させろ」
と交換条件を突きつけます。

フレイヤ、巨人にモテモテです。
フレイヤはもちろん拒否しますが、ロキは一計を案じ、
トールを花嫁姿に女装させ
フレイヤに扮して巨人の国ヨトゥンヘイムに潜入させることに。

花嫁、めちゃくちゃマッチョですけど、そこは大丈夫なんでしょうか。

到着したトールとロキを見てスリュムは、
「フレイヤが来た!」と大喜び。

大丈夫でした。雑だな!

途中、「トールがごちそうにがっつきすぎて怪しまれる」というピンチもありましたが、
うまく切り抜けます。
スリュムが、花嫁の祝福のためにと、ミョルニルを持ち出してきたとき、
トールはミョルニルを奪い取って大暴れ。
スリュムとその一族を全滅させました

トール

4砥石のひみつ

トールは最強の巨人であるフルングニルも倒しています。
フルングニルとトールの決闘の際、
トールと一緒に来たシャールヴィの嘘を真に受けて無防備な状態に。
丸腰のフルングニルは持っていた砥石を、トールはミョルニルを投げつけ、
もちろんミョルニルの方が硬いので、ぶつかって砥石は2つに割れます。
2つに飛び散った砥石は、1つはフルングニルの頭蓋骨を直撃して粉砕。
もう一方の砥石はトールの頭に刺さり、トールも転倒。
転んだ上に死亡したフルングニルの巨体が倒れて下敷きに。

ちなみに巨体の下敷きで動けなくなったトールは、生後3日目の息子マグニ に助けられます。
生後3日目なのに力持ちです。

この戦いで頭に刺さった砥石の欠片は、トールにむず痒さと痛みを与え、
苦痛によってトールが叫ぶのが雷光のはじまりだそうです。
これにはトールも嫌でたまらなくなり、巫女グローア に何とかしてもらおうと依頼。
彼女が魔法の歌を歌うと砥石が抜け落ち始め、痛みも完全に無くなりました。

もうすぐ石がなくなるだろうと思ったトールは、お礼に彼女を喜ばしてやりたくなり、
「お前は死んだと思い込んでいるけど、お前の夫のアウルヴァンディルは俺が夫を助け出したから生きているんだ。
もうすぐ帰ってくるよ」
と伝えます。

これを聞いたグローアは喜びのあまり狂喜乱舞し魔法の歌を忘れてしまったので、
治療が中途半端に終わり、トールの頭の中には砥石が入ったままになっているそうです。

冒頭の方の砥石の謎がここで解けました!

そんな最強神のトールも残念ながら最終戦争のラグナロクで命を落とします。
ラグナロクでトールは因縁の相手(釣りの時の)大蛇 ヨルムンガンド と戦います。
前述のとおり、ヨルムンガンドは世界をぐるっと巻いて、
しっぽをくわえることができるくらい巨大なので超強敵なのですが、
トールは最強の怪力の上にミョルニルもあります。

死闘の末に致命傷を与えますが、
死に際にヨルムンガンドは猛毒を吐きます。
海に住んでいるので、食べた魚介類の毒素が濃縮されたのかなと思います。
シガテラ毒ですね。

シガテラかどうかはともかく、
この猛毒を吸い込んでしまったトールは、
9歩下がった後に死んでしまい相打ちとなりました。

武勇を重んじた力自慢のトールですが、その死因は毒によるものでした。

トール

トールの呼び名

トールもオーディンのようにたくさんの呼び名を持っており、
「あらゆる神の首領」「轟く者」「ミズガルズの尊い守護者」「大地の子」
といった、トールらしくかっこいいものは言わずもがなですが、
「女巨人泣かし」「山羊の主人」というパワーワードもあったのでここに書き記しておきます。

ヤギの主人!いや、確かにそうだけど!

そんな感じで北欧神話の神様紹介シリーズ、
今回は最強の雷神、トールでした。

今回も内容は Wikipedia から仕入れてきました。

トール-Wikipedia-

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