北欧神話 神話・伝説

31 北欧神話シリーズ11 原初の巨人 ユミル について

今回は北欧神話の
天地創造エピソードに登場する、
原初の巨人 ユミル について紹介します。
神々と敵対する霜の巨人(ヨトゥン)達の祖であり、
世界の材料となった最初の巨人です。

ユミル


ユミル(古ノルド語: Ymir)とは、
北欧神話に登場する原初の巨人です。

神話の1篇『スノッリのエッダ』で、
ユミルについて語られています。
彼はまたアウルゲルミルとも呼ばれ、
「耳障りにわめき叫ぶ者」という意味を持っています。


ユミル

こうやって生まれた。

世界が始まった頃、
その時代には神々の国や、
巨人、人間たち、妖精の国などはなく、
灼熱の炎の国ムスペルヘイムと、
氷の国ニブルヘイムしかありませんでした。
『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』より。

ムスペルヘイムとニブルヘイムの境には
ギンヌンガガプという巨大な裂け目があり、
北からはニブルヘイムの激しい寒気が、
南からはムスペルヘイムの耐え難い熱気が吹きつけているという過酷な環境。

寒気と熱気がギンヌンガガプで衝突。
熱気が霜に当たり、
霜から垂れた滴が毒気 となり、
その毒気からユミルが生まれます。


ユミル

牛乳で生き延びる。

上記の熱気と冷気がぶつかって発生した
滴から牝牛のアウズンブラも生まれます。

ちなみにアウズンブラ、
「豊かなる、角なし牛」を意味するそう。
ちなみに、リサーチ中に見た画像は、
古いものから後世のものまで、
全て立派な角が生えていたのはナイショです。

ユミル、生まれたはいいものの
世界自体がまだないので、
困ったことに食べるものがありません。

アウズンブラのお乳を飲んで生き延び、
そしてユミルは巨人たちを生み出したので
牛乳が巨人を生んだ とも言えます。
多分!

ちなみにアウアウズンブラも
食べるものないじゃんというところですが、
氷をなめるだけで大丈夫だそうです。
なぜなら塩味だからという謎理論。

ついでに、
氷の塊をなめたところから
最初の神ブーリが生まれます。

なめてたら1日目に頭髪が、
2日目に頭が、
そして3日目に全身が現れて生まれたんだそうです。

そのブーリの息子がボル、
ボルは3兄弟を授かり、末っ子がオーディンです。
色々畳み掛けてくるスタイルです。

ユミル

霜の巨人たちの父。

上述の通りユミルは、
全ての霜の巨人(ヨトゥン)たちの父となります。

少し紹介すると、

ユミルの足は息子を産み、
脇の下から男と女が1人ずつ現れた。


とのことです。
気になるところしかありませんが、
原初の巨人なので。

ユミル

成敗!からの、世界へ。

アウズンブラがなめた氷から現れた神、
ブーリと巨人の女性の息子ボルは、
同じく巨人の女性 ベストラ と夫婦になり、
この夫婦からオーディン、ヴィリ、ヴェー
の3人の神が生まれます。

オーディン以外の名前が適当な感・・・
気のせいです。

ところでユミルから生まれた巨人達、
非常に乱暴で神々と常に対立していました。
神様3兄弟は自分達の力に自信があり、
自己肯定感も激高。

巨人を懲らしめる為に、
いっちょやったろかい。と、
巨人の王となっていたユミルを殺害。

3神に倒されたユミルの血は世界に溢れ、
すべての霜の巨人を溺死させました。

巨人ベルゲルミルとその妻だけが例外で、
この2人からまた巨人は再び数を増やしていおくのでした。

オーディン達、三神はユミルを解体し、

血から海や川を、
身体から大地を、
骨から山を、
歯と骨から岩石を、
髪の毛から草花を、
まつ毛から人間の国ミズガルズを囲う防壁を、
頭蓋骨を放り投げて天を、
脳から雲を造りました。
また、天空に舞い上がったムスペルヘイムの火花が星となります。

なお、残りの腐った体に湧いた蛆に
人型と知性を与えて妖精に変えたそうです。
余すとこなく利用。すごいですね。


ユミル

意外なあの人との関係。

さて、「ユミル」という名前ですが、
インド神話に登場する
ヤマという神様と同語源だそうです。

ゾロアスター教の経典に登場する
イマという、とても古い神格がルーツで、
インド・イラン共通時代という
非常に古い時代まで遡るというので驚きです。

ヤマは人類の祖とも言われており、
また、最初に死んだ人間、
そして死者の国の王になったという伝説を持ちます。

やがて仏教に取り入れられて日本にも伝来、
もうおわかりですね。
そう、閻魔大王です。
嘘ついたら舌を抜くあの人です。

遠く離れた北欧の神話の存在が、
まさか日本でもおなじみの存在というのが
非常に面白いですね。




そんなわけで、北欧神話シリーズ、
原初の巨人ユミルについて紹介しました。

私はちゃんと読んでないのですが、
人気マンガ、進撃の巨人にも登場するそうですね。
機会があれば是非。


今回も内容は Wikipedia 中心に仕入れてきました。

ユミル-Wikipedia-

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