神話や伝説に登場するチームを紹介する試み、
引き続き「天龍八部衆」というチームのメンバーを紹介していきます。
今回は第3回にしてスター選手コンビが登場です。
48回目の投稿でアイドル的存在を紹介することになって、何かが起こりそうな予感を物語っております!
※何も起こりません。
天龍八部衆とは?
天龍八部衆とは、
仏法を守る守護神(護法善神)でその面々は
天(てん)衆、
龍(りゅう)衆、
夜叉(やしゃ)衆、
乾闥婆(けんだつば)衆、
阿修羅(あしゅら)衆、
迦楼羅(かるら)衆、
緊那羅(きんなら)衆、
摩喉羅伽(まごらか)衆
の8つの種族からなり、
元々は古代インドの神、鬼神、戦闘神、動物神、音楽神だったものが、お釈迦様の説法を聞いて仏教に帰依。
仏法と仏教徒を守るために集ったというわけです。
8つの種族というわけでその姿はいずれも個性的。
現代の私たちがその姿を見れる、最も有名な作品としては、奈良・興福寺の「乾漆八部衆立像(はちぶしゅうりゅうぞう)」があります。
なお、興福寺の八部衆は、
天に当たるのが「五部浄(ごぶじょう)」、
龍に当たるのが「沙羯羅(さから)」、
夜叉に当たるのが「鳩槃荼(くばんだ)」、
摩喉羅伽(まごらか)に当たるのが「畢婆迦羅(ひばから)」となります。
名称が異なるのは、種族の別名なのか個人名なのかわかりませんが、
「各種族の代表者名」という解釈の方が個人的には好きです。
なお、乾闥婆(けんだつば)、阿修羅(あしゅら)、迦楼羅(かるら)、緊那羅(きんなら)はそのままです。
※イラストや名前については基本的に興福寺スタイルを踏襲します。
今回紹介するメンバーは、阿修羅衆代表の阿修羅と、迦楼羅衆代表の迦楼羅。
どちらも、見たことあるという方が多い有名な2名です。
阿修羅衆代表、阿修羅(あしゅら)。
まずは八部衆のスター、阿修羅です。
興福寺の八部衆、むしろ興福寺といえば阿修羅。というイメージの方も多いですよね。
阿修羅は古代インド神話における神々と対立する鬼神「アスラ」の音写となり、戦闘を司る存在です。
天衆ことデーバ神族に対してアスラ神族とも呼ばれ、インド神話の天地創造「乳海撹拌」ではデーバ神族と協力して海をかき混ぜ、世界と不老不死の霊薬「アムリタ」を作りました。
作ったアムリタを分け合うという条件でアスラたちは乳海撹拌に協力したものの、結局のところデーバ神族の独り占めによってアスラたちは飲むことができず、不死・不滅にはなれませんでした。
しかし、想像を絶する過酷な修行によって神々を超越する力を得て世界の主権を奪うというエピソードも豊富。
ただし、悲しいかな、最終的にはなんやかんやあって、インドの神様に成敗されるというオチの悪役の扱いです。
仏教においてはお釈迦さまの教えに感化されて守護神になりました。
阿修羅は帝釈天に自分の娘を嫁がせようと思っていましたが、あろうことか帝釈天は娘を誘拐して強引に妻にしてしまうというドン引きムーブ。
もちろん阿修羅は激怒、神々のもとに殴り込み、帝釈天はじめ神々と死闘を繰り広げます。
悪いのは当然帝釈天だと思うので気持ちがモニョモニョですが、仏教的には阿修羅サイドも
「怒りにとらわれて赦す心を失ったことは良くない。」
と天界を追われ、人間道と餓鬼道の間に新設された「修羅道」に落とされたというエピソードがあります。
この「修羅道」ですが、妄執によって苦しむ争いの世界であり、果報が優れていながら、悪業も負う者が死後に落ちるそうです。
衣食は天界と同レベルの上等なものが得られますが、終始戦い争うため苦しみと怒りが絶えない世界とのこと。
また、修羅道では「食事を食べ終わるときに口の中に泥が広がる」とも言われ、とても嫌ですね。
興福寺の阿修羅像はとても有名ですね。
3つの顔と6本の腕である「三面六臂」の興福寺バージョンがまさに阿修羅のイメージ。
物憂げな表情が今も昔も人々の心を引き付ける名作ですが、
阿修羅(アスラ)は種族名なので、この阿修羅の他にもたくさんおり、
千本の腕を持っていたり、4本の腕と1本の尾を持っていたりと実はビジュアルも様々のようです。
迦楼羅衆代表、迦楼羅(かるら)。
迦楼羅もルーツは古代インド神話から。
龍を好んで食べる伝説の鳥「ガルダ」が元になっており、鳥類を神格化した存在です。
八部衆の中でも一番ビジュアルが特徴的なのでよく知られているのではないでしょうか。
迦楼羅の元になっているガルダはインド神話に登場する神鳥。
半人半鳥の姿で大きな翼を持ち、太陽のように輝く光を発するため日本では「金翅鳥(こんじちょう)」とも訳されます。
造物主プラジャーパティにはカドゥルーとヴィナターという娘がおり、2人揃って聖仙カシュヤパの妻となりました。
カドゥルーは1000匹のナーガを産み、ヴィナターは2つの卵を産みました。
ある日2人は負けたほうが奴隷になるという、アレな感じの賭けをし、イカサマでカドゥルーが勝利。
ヴィナターは500年間奴隷になります。
やがて時が経ち、卵からガルダが誕生。
生まれてすぐ成長、太陽のように輝いて神々をびびらせます。
ガルダはナーガたちに母のヴィナターとともに奴隷から開放するよう頼み、ナーガたちは神々が持つアムリタを奪ってこれたら開放すると無理ゲーな条件を提示。
まあ、天上に乗り込んだガルダは大暴れしてわりとサクッとっとアムリタを奪い去りミッションコンプリート。
天上から脱出したガルダは道すがら三大神の一柱ヴィシュヌに会い、ガルダの勇気と強さに感動したヴィシュヌは願いを叶えてあげることに。
その願いはアムリタがなくても不死になることとナーガ族を主食 にすることでした。
あれ?ヴィシュヌの力で不死になれるなら何千年もがんばって乳海攪拌しなくてもよかったのでは?
ともあれ、ガルダもそのお礼にヴィシュヌの乗り物になったのでした。
ちなみに、その時神々の王、雷神インドラがやってきて最強の武器で攻撃してきますが、実はガルダは小人によって「インドラより100倍つよくなーれ。」という願いをかけられていたので効かないという超展開。
インドラも「じゃあ友だちになろう!永遠にズッ友!」ということで解決しました。
なんじゃそら。
ガルダは一旦約束を守るため、ナーガたちのもとにアムリタを持ち帰り、母を開放。
鋭い葉っぱの上にアムリタを置いて沐浴しないといけないとだましてナーガたちが沐浴している間にインドラがアムリタを取り返すという連携プレー。
葉っぱにアムリタがちょっとこぼれてないかしらと舐め回したために先が切れて蛇の舌は二股に分かれたそうです。
興福寺の迦楼羅像は顔が鳥の人になっておりスカーフがおしゃれ。
大きなくちばしを持ち両頬に肉垂を持つキジっぽい感じでデザインされています。
雨を降らせたり、大雨を止めたり、害を与える悪いものを食べてくれたりするそうです。
以上、今回は阿修羅と迦楼羅を紹介しました。
次回は八部衆のラスト、緊那羅衆の緊那羅と摩喉羅伽衆の畢婆迦羅を紹介します。
よろしくお願いします。
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