なんそれ妖怪図鑑 気になる事柄を学ぶシリーズ 神話・伝説

133 四十七都道府県なんそれ妖怪図鑑⑮ 山梨県・蟹坊主(かにぼうず)

ごきげんよう、ハゲと天パです。

日本に伝わるたくさんの妖怪のなかで、
よくわからないわるさをするやつら。

その中から特に、
「なんそれ?」という妖怪を
47都道府県でセレクトし紹介している

四十七都道府県なんそれ妖怪図鑑

のシリーズです。

今回から中部地方編がスタート。


にぎやかすのはおなじみのこの2人。

加筆です。にぎやかします。

修正です。しゃしゃり出ます。

2人(通称ペンドラゴンズ)についてはこちら。





そんなわけで、
四十七都道府県なんそれ妖怪図鑑、
北海道 to 沖縄と、北から南へ紹介。

前回の東京都はこちらの
出世法螺(しゅっせぼら)でした。
長い年月を経たホラガイが、龍に進化するという話と、
いやいやそれは、うっそでー。というわけで、
「ホラを吹く。」という言葉の語源になったよ。というお話。


中部地方編のスタート、
トップバッターは山梨県から蟹坊主(かにぼうず)です。

蟹坊主

山梨代表・蟹坊主(かにぼうず)


蟹坊主(かにぼうず)は、
山梨県山梨市万力の長源寺に伝説が残る妖怪です。

その昔、長源寺にひとりの雲水が訪ね、
「両足八足、横行自在にして眼、天を差す時如何」
と問答を申し込み、
住職が答えに詰まると殴り殺すという事件が発生。
その後も代々の住職が同様に死に、とうとう寺は無人になってしまいました。

話を聞いた法印という旅の僧がここに泊まったところ、
案の定、例の雲水登場。

しかもその雲水は身長3メートルもある怪僧
代々の住職も殴り殺されるのも納得です。

ワンピースのキャラくらいでかい。


雲水は今回も問答を仕掛けますが、
法印は
「お前はカニだ!」
と、正体を見破って独鈷を投げつけたところ、
全長4メートルの巨大なカニの正体を現し、砕けた甲羅から血を流しつつ逃げ去りました。

なお、独鈷とは、金剛杵(こんごうしょ)とも呼ばれる法具。
弘法大師空海が肖像画で持ってる、
刺さると痛そうな謎の道具のことですが、
もともとはインド神話由来の武器。
普通に痛いやつでした。

インド神話によると、
帝釈天ことインドラが、
ヘビ型悪魔の首領ヴリトラを倒すため、
創造神ブラフマーに相談したところ、
「ダディーチャという偉大な聖仙に骨くださいと頼めば、
身を捨てて自分の骨をくれるから、その骨でヴァジュラ(金剛杵)をつくれ。早よつくれ。」

と言われます。

インドラがダディーチャに頼んだところ、
「OK。身を捨てます。」
と二つ返事でOKして息をひきとり、
神々はさっそく骨を取り出して造りました。

ノリが軽いわね・・・


んで、インドラはその金剛杵でヴリトラを粉砕したわけですが、
仏の教えが煩悩を滅ぼし、
菩提心(悟りを求める心)を表す様をたとえて法具としたそうです。

金剛杵-wikipedia

ちなみに、独鈷杵の読み「どっこしょ」と音が似てるので、
「どっこいしょ」の由来と思われるかもしれませんが、
「どっこいしょ」は、山岳修行の行者たちが山を登るときの掛け声、
「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」が由来だそうです。
疲れてくると六根清浄が「どっこいしょ」と聞こえたからなんですってよ。


蟹に話を戻しまして、
翌朝、法印が村人たちと共に血痕を辿ると、
巨大なカニが死んでいるのを発見。
しかも死体から千手観音が現れます。
なんそれ、もうRPGやん。

法印はそれに感激。
千手観音を寺の本尊に祀り、
法印自身も救蟹法師(きゅうかいほうし)と名を改めて住職になったといいます。
その名前で良かったんでしょうか。


また、長源寺ではこの化け蟹伝説に基づいた掛け軸
「救蟹伝説掛軸」が伝わっており、
カニの爪跡とされる2つの穴があいた石や、
カニが投げつけたという1m以上もの巨石なども残されているとのこと。
かつてはカニの甲羅も残されていたそうですが、残念ながら紛失したそうです。

なお、長源寺は享保11年(1726年)まで「富向山」という山号だったそうですが、
蟹坊主の伝説が語られてから、山号も「蟹沢山」に改められたそう。
めっちゃ蟹にあやかる感じが好きですが、
蟹沢山って、カニ食べ放題みたいで幸せ感ハンパないですね。

じゅるり。

ところで、蟹と戦う系の伝説や昔話、
実は各地に残っていて、

ストーリーとしてはだいたい、


無人の寺に旅の僧が泊まる。

何者かが現れて問答を仕掛ける。

正体はカニ。と暴いて退治。

という感じ。


長源寺の他にも、
石川県珠洲市の永禅寺、富山県小矢部市の本叡寺にも同様の話があるそうです。
また、福岡県のバージョンでは、問答に負けた和尚が大蟹に食べられていたり、
岩手県西磐井郡でも、
橋で巨大なカニが僧に化けて問答をしかけた。とのこと。
ちなみにこのカニは、寛法寺という寺の住職に鉄扇で退治されたとか。
寛法寺住職、強いな。

このような問答を仕掛けるカニの化け物の話、
狂言の「蟹山伏」がルーツとされているそうです。


問答をしかけないタイプの蟹妖怪もおり、
播磨国(現・兵庫県明石市あたり)では、
巨大なカニが現れては人々を苦しめたことにちなんだ「かにが坂」という坂があり、
この地を訪れた弘法大師が封じ込めたそうです。
他、伊豆地方にも滝壺に3.3メートルの巨大ガニが住みついていて、
こいつが動くと地震が起こるなどともいわれています。
でかい蟹の妖怪、多いですね。

次回は長野県。
中部地方は多いので、ぐるっと回って近畿に行く予定です。



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蟹坊主-wikipedia

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