諸子百家について書いてみる第3回は道家の祖、老子について。
老子は中国春秋時代の哲学者・思想家
諸子百家の1つ「道家」は老子の思想を基礎にしています。
また、後漢末の時代に生まれた中国の信仰「道教」の始祖ともなっています。
老子の教えをまとめた書物「老子道徳経」※一般的に「老子」とも。
を書いたとされていますが、生い立ちや履歴については不明な部分も多く、
そもそも 老子 という呼び名も
「立派な偉大な人物」を意味する尊称であると考えられており、
神話上の人物だ。という意見や、
歴史上の複数の人物を統合させた存在であるという説など、
実在自体を疑問視する意見もあります。
前漢時代の歴史家 司馬遷により編纂された「史記」によると、
姓は李 名は耳。
現在の河南省周口市鹿邑県という場所の出身と記されています。
周王朝の王宮法廷で記録保管役として働き、
古来の書物に触れる機会を多く得たと伝えられます。
この中で多くの学生や門弟に教えを説き、
あの孔子も教えを請いに来たり、アドバイスをした。というエピソードも。
彼はこの国で長く過ごしますが、自らの衰えを悟り人里離れて隠棲を決心。
国を去る際に、国境の関所で役人から教えを請われ、
老子道徳経を書いて授けたそうです。
この書を残して老子はいずことも知れず去り、その後を知るものはいない。
というエピソードが有名ですが、
これも伝えられる話の1つにすぎず謎の多い人物です。
ちなみに、中国で「李」の姓を持つ人々は身分や貧富を問わず、
自分のルーツが老子に繋がる、老子の末裔であるという人が多いそう。
中国文化の中では非常に重要な人物であり、大きな影響を与えています。
老子の思想の根幹は「無為自然」。
あるがままに暮らすべき。という思想です。
道家の名の通り「道」=「天」=自然や宇宙の原理 が最上のもので完全だから、
人間は無駄なことをせず、器によって形を変える水のように柔軟に純粋無垢に生きろ。
という教えです。
流れる水のように無為自然な「道」に沿った生き方をすれば、
しがらみや苦悩からも解放されるというのが道家の考え方。
ストレスにまみれた現代社会においても心が楽になる癒し系の省エネ思想ですね。
老子の有名な言葉としては以下の物があります。
●上善は水の如し、水は善く万物を利して争わず。
水は万物に恩恵を与えながら、他と争わず器によってその形を変える。
高いところから低いところへ流れる水のように、
謙虚に低い位置に身を置いて柔軟に争わない生き方が最善である。
●取らんと欲する者はまず与えよ。
「欲しいと」求めるだけでは何も得ることはできない。
何かを手に入れたいのならまずは人に与えることから始めなさい。
●知る者は言わず、言う者は知らず。
道理をわきまえ、知識を持っている賢者は軽々しく口にしない。
逆におしゃべりな者は実はなにもわかっていない。
謎が多い老子ですが、
老子道徳経を書いた後、なんとローマへ向かった。という説や、
道徳を解明するためインドに向かったという説があります。
いやいや、衰えを感じたのがきっかけの割にタフすぎです。
また、お母さんが流れ星を見たときに老子を懐妊し62年間も胎内に居座ったうえ、
梅の木にもたれかかった拍子に左の脇から生まれたという、
なんじゃそらエピソードもあり。
お腹にいた期間も62年、72年、81年からはてには3700年という説があって、
生まれた時には白髪まじりのあごひげで耳たぶが長いおじいさんの姿だったとか。
ホラーすぎ。
※記事については、 学術研究ではなく、
エンターテインメントとしてご覧いただけましたら幸いです。
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