ごきげんよう、ハゲと天パです。
気になったものについて書いていくシリーズ。
気になる鬼、第五回。
今回は修験道の開祖 役小角と、
その手下、前鬼・後鬼 を紹介します。
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役 小角(えんの おづぬ / えんの おづの )
は、飛鳥時代の呪術者で、
役行者(えんのぎょうじゃ)と呼ばれることが多いですが、
役優婆塞(えんのうばそく)とも。
優婆塞は「僧ではない在家の信者」の意味です。
実在の人物と言われていますが、
何せ古い時代に伝わる人なので、人物像としては、
後世の伝説によるところが大きいレジェンド。
前鬼と後鬼という鬼を弟子にし、
使役したと言われています。
●そもそも 役小角(役行者)とは?
さて、役小角が何をした人かと言いますと、
修験道(しゅげんどう)の開祖とされる人です。
修験道とは、古代日本において
山岳信仰に仏教(密教)や道教等の要素を取り込みながら成立した、日本独自の宗教・信仰のこと。
主に山へ籠もって厳しい修行を行うことで悟りを得ることを目的としています。
役小角の「役」ってなんの役という話ですが、ファミリーネームです。
律令制の時代、租税の一種として「無償労働」があり、それを「役民」といったそうですが、役民を管掌した一族であったために、「役」の字をもって氏としたそうです。
役氏(えんうじ)は三輪系氏族に属する地祇系氏族で、葛城流賀茂氏から出た氏族であることから、
加茂役君、賀茂役君(かも の えん の きみ)とも呼ばれています。
賀茂氏といえば、
安倍晴明の師匠で育ての親、
賀茂忠行(かものただゆき)を輩出した代々陰陽師として活躍した家系ですね。
人気のマンガ・アニメの呪術廻戦でも、
「呪術界御三家」といわれておなじみだそうですね。
おもしろいですし興味あるのでそのうち、ちゃんと読んでみようと思います。
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役小角の生い立ちと生涯。
小角の生涯は伝承によるところが大きいのですが、
史料としては「続日本紀」があり、
後の時代の「日本現報善悪霊異記」(日本霊異記)にもエピソードがまとめられています。
それによると、舒明天皇6年(634年)に
大和国葛上郡茅原郷というところ※現在の奈良県御所市茅原 に生まれます。
お父さんは、出雲から入り婿した大角、
お母さんは白専女(しらとうめ)もしくは刀良女(とらめ)とも。
ある夜、天空から金色に輝く金剛杵(密教の宝具)が降りてきて、
白専女の口の中に入る夢をごみたところご懐妊。
なので幼名が金杵丸(こんしょまる)だそうです。
生まれつきおでこに小さな角が生えていたので、「小角」という名前とも。
白雉元年(650年)、
16歳の時に山背国(後の山城国)に志明院を創建。
翌年17歳の時に元興寺で孔雀明王の呪法を学び、
その後、葛城山(現在の金剛山・大和葛城山)で山岳修行を行います。
熊野や大峰(大峯)の山々で修行を重ねた後、
吉野の金峯山で金剛蔵王大権現を感得、修験道の基礎を築きました。
なお、金剛蔵王大権現は、釈迦如来、千手観音、弥勒菩薩の三尊の合体したものだそうでよくばりセットです。
修験道の本尊とされています。
呪術に優れており、
鬼神を使役できるほどの法力を持っていたそうで、
絵や像では、左右に前鬼と後鬼を従えた姿で描かれることが多いです。
人々は鬼神を使役して水を汲み薪を採らせていると噂し、
鬼が言うことをきかないときはおまじないを使って鬼を縛ってお仕置きしたそうです。
また、20代の頃には藤原鎌足の病気を呪術で治癒させたという伝説もあります。
文武天皇3年(699年)、
弟子の韓国広足(からくにのひろたり)に妬まれ、
「人々を言葉で惑わしている」と讒言されて伊豆に流罪となります。
2年後の大宝元年(701年)1月に大赦があり、
茅原に帰り、大阪府箕面市にある箕面山瀧安寺の奥の院にあたる天上ヶ岳にて入寂。
享年68歳。
尊い人なので没ではなく入寂(入滅)です。
●役小角のエピソード。
山と山の間に橋をかけようとする。
ある時小角は、
葛木山と金峯山の間に石橋を架けよう!
と思い立ち、諸国の神々を動員してこれを実現しようとした。
その動員、強すぎませんか?
しかしながら、葛木山にいる神様の一言主は、
見た目にあんまり自信がないそうで、自らの姿を気にして夜しか働かなかったそうです。
そこで役行者は一言主を神であるにもかかわらず、折檻して責め立てたそうです。
ひどい。
それに耐えかねた一言主、
天皇に役行者が謀叛を企んでいると讒言。(もしくは韓国広足に讒言させた。)
役小角は神様をパシらせるくらい超つよなので、捕まえることとか大変なんですが、
朝廷は彼の母親を人質にして捕縛。
伊豆大島へと流刑になり、山に橋架けるプロジェクトもポシャりました。
流刑先の伊豆大島では、
昼は島にいて、夜には毎晩海上を歩いて富士山へと登っていたとも言われています。
ちょっとお散歩がアクティブすぎるし、距離感もバグってます。
なお、富士山では修行してたそうで、
富士山麓の御殿場市にある青龍寺は役行者の建立といわれています。
また、島を抜け出して熱海市の東部にあたる伊豆山でも修行し、
また伊豆山温泉の源泉も発見したとされます。
すごい。
「日本霊異記」によると、若くして雲に乗って仙人と遊び、孔雀王呪経の呪法を修め、鬼神を自在に操ったとされています。
役小角のエピソードは上巻の28にあり、
その名も
「孔雀王の呪法を修持し不思議な威力を得て現に仙人となりて天に飛ぶ縁」
タイトルからもうネタバレ感がすごい。
大まかな話は上記の通り、讒言により伊豆に流されますが、
伊豆ライフをエンジョイ。
許されて戻った後は仙人になって天に飛び去ったそうです。
また、道昭法師という方が新羅の国で五百の虎に法華経の講義をした時ですが、
いや、その前にどんな状況?
その時、虎たちの中に一人の人がいて日本語で質問してきたそう。
法師は「誰ですか」と問うと「役の優婆塞です」と答えたそうです。
驚いた法師は高座から降りて探したがすでに居なかったんだそう。
ちなみに、役小角と一悶着あった一言主は、
呪法で縛られて今も解けないままでいるんだそうです。(日本霊異記執筆時点)
●前鬼・後鬼
像や絵画における役小角は老人の姿で
岩座に座り、頭には頭巾、一本歯の高下駄を履いて、巻物と錫杖(しゃくじょう)を持った姿で描かれます。
傍らには鬼の前鬼・後鬼を従えていますが、
この二人は夫婦の鬼。
前鬼が夫、後鬼が妻です。
善童鬼(ぜんどうき)と妙童鬼(みょうどうき)とも称され、
役小角の式神であったり、
二人の弟子のことだともされます。
前鬼の名は義覚(ぎかく)または義学(ぎがく)、
後鬼の名は義玄(ぎげん)または義賢(ぎけん)ともいうんだとか。
夫の前鬼は陰陽の陽を表す赤鬼で鉄斧を手にし、
その名の通り役小角の前を進み道を切り開き、現在の奈良県吉野郡下北山村出身とされます。
妻の後鬼は、陰を表す青鬼で、
霊力のある水が入った水瓶を手にしているそうです。
現在の奈良県吉野郡天川村出身とされます。
赤鬼と青鬼といえば、
電気グルーヴ の『Cafe de 鬼(顔と科学)』のPVですが、
ずっと見ていられます。
元は生駒山地に住み、人に災いをなしていたんだとか。
小角に従っている時は力をセーブされているので子鬼の姿で描いてみましたが、
災いをなしていたときのイメージはこんな感じでしょうか。
夫婦仲睦まじく、5人の子供がいます。
人々に災いをなす鬼として暴れまわっていた頃、
小角は彼らの5人の子供の末っ子を鉄釜に隠し、
彼らに子供を殺された親の悲しみを訴えたそうです。
2人は改心し、役小角に従うようになったんだとか。
(どこかで聞いたことがある話です。)
その時に義覚(義学)・義玄(義賢)の名を小角が与えたそうです。
彼らが捕らえられた山は鬼取山または鬼取嶽と呼ばれ、現在の生駒市鬼取町にあります。
なお、静岡県小山町須走にも、役小角が前鬼と後鬼を調伏し従えたとする伝説があります。
また、修験道の霊峰の大峰山麓、
現在の下北山村には2人のものとされるお墓があるそうです。
ちなみに前鬼は後に天狗となり、
日本八天狗や四十八天狗の一尊である大峰山前鬼坊(那智滝本前鬼坊)になったともされています。
日本八天狗、伝説のチームシリーズでまたやってみても良いかも。
前鬼と後鬼の5人の子も、五鬼(ごき)または五坊(ごぼう)と呼ばれます。
名は真義、義継、義上、義達、義元。
彼らは役小角の五大弟子と同一視されることもあるそうです。
彼らは下北山村のその名も「前鬼」というところに修行者のための宿坊を開き、
またそれぞれ、
五鬼継(ごきつぐ)、五鬼熊(ごきくま)、五鬼上(ごきじょう)、五鬼助(ごきじょ)、五鬼童(ごきどう)
という5家の祖となり、
子孫の方は現在もいらっしゃるそうです。
明治初めの廃仏毀釈、特に1872年の修験道禁止令により修験道が衰退したため五鬼熊、五鬼上、五鬼童の3家は廃業し里を出、五鬼継家も1960年代に廃業、
現在は五鬼助家の方のみ今も宿坊を続けられているそうです。
ちなみに当代61代目の方が当主となられているんだとか。
そんなわけで修験道の開祖 役小角と、前鬼後鬼でした。
役行者にゆかりのある寺社では尊称として神変大菩薩と呼ばれており、
寺院に祀られている役行者の像の名称として使われたり、
南無神変大菩薩と記した奉納のぼりなどが見られることもあります。
ゆかりのある寺社は大阪府・奈良県・滋賀県・京都府・和歌山県・三重県に36社あり、
役行者霊蹟札所となってますので、巡ってみられてはいかがでしょうか。
かなり大規模なスタンプラリーですが、ご興味ある方はぜひどうぞ。
なお、このブログは、気になったことを調べ、学んだ内容とイラストを紹介するお絵描きブログです。
ソースは主にWikipediaなどになりますので、学術研究ではなくエンターテイメントとしてお楽しみください。
興味のきっかけや、ふんわりしたイメージ掴みのお手伝いになればうれしいです。
役小角-wikipedia
修験道-wikipedia
前鬼・後鬼-wikipedia
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