ごきげんよう、ハゲと天パです。
気になったものについて書いていくシリーズ。
気になる鬼、第四回。
今回はスター鬼、酒呑童子の右腕、
鬼の副将 茨木童子 を紹介します。
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茨木童子(いばらきどうじ)は、
平安時代の鬼の棟梁 酒呑童子の配下の鬼。
大江山を拠点に京の都を荒らし回った、強力な鬼の一人です。
酒呑童子からは、「最も重要な家来」として信頼されていた右腕といえる存在です。
●茨木童子の生い立ち
茨木童子の出生地には、越後国と摂津国という説があります。
生まれた頃から歯が生え揃っていた、巨体であったなど周囲から恐れられ、
鬼と化した後は酒呑童子と出会い舎弟となり、共に京を目指したんだとか。
酒呑童子一味は大江山を拠点にし、
京の貴族の子女を誘拐するなど乱暴狼藉をはたらいていましたが、
源頼光とそ家臣たち頼光四天王によって退治され、
茨木童子はその時逃げ延びたともいわれています。
その後、頼光四天王の一人である渡辺綱と一条戻橋や羅生門で戦ったというお話が、
後世の説話集や能、謡曲、歌舞伎などで語り継がれています。
※羅城門の鬼と茨木童子は本来別の鬼のようですが、しばしば同一視されています。
越後出身説。
まずは、茨木童子は酒呑童子と同じく越後出身という説。
酒呑童子は蒲原郡の砂子塚(現・新潟県燕市砂子塚)生まれで国上寺の稚児でしたが、
茨木童子は古志郡の山奥の軽井沢(現・新潟県長岡市軽井沢)の生まれで弥彦神社に預けられていました。
茨木童子は美男子で知られており、
外道丸こと酒呑童子同様、多くの女性に言い寄られ、
将来を案じた母親に弥彦神社に送られることになったんだそうです。
なお、この地には酒呑童子と茨木童子が相撲を取った場所があるそうで、
美少年二人が相撲でわっしょいは、一部の層にすごく需要がありそうです。
わっしょいわっしょい。
ある時、茨木童子が弥彦神社から実家に帰ると、
母が行李の中に隠した「血塗の恋文」を見つけ、その血を指で一舐めすると、
たちどころに彼は形相が変わり鬼となり、
梁をつたい、破風(屋根の下の三角のところ)を壊して逃げていったとのこと。
なんで舐めたし。
ラブレターを読まずに燃やす外道丸こと酒呑童子もやばいですが、
手紙の血を舐めちゃう茨木童子も危険すぎます。
いずれも、気づくと鬼へと変わり果て、悪の限りを尽くすようになっていくのでした。
とりあえず「血塗の恋文」は怖すぎかつ重すぎです。
その後、酒呑童子と意気投合した茨木童子は舎弟となり、共に周囲の村々を襲っていましたが、
そのうわさを聞いた母が、
彼の幼い頃の産着を着けて茨木童子の前に立ってその悪行を咎めます。
茨木童子は急に子供の頃の想い出が甦ったのか、
「二度と・・・二度とこの地は踏まないからッ!」
と約束し、
酒呑童子とともに京の都へと向かったそうです。
ちなみにこの地区には「茨木さん」が多く、
茨木姓の家では節分に豆をまかない習わしがあるそうです。
また家の屋根に破風を作るとその家では不良が出るので作らないという言い伝えがあるという。
摂津出身説。
次に、こちらの摂津出身説では、
茨木童子の出生地は、兵庫県尼崎市や大阪府茨木市の出身という説があります。
1701年刊行の「摂陽群談」では、
摂津国の富松の里(現・兵庫県尼崎市)で生まれ、
茨木の里(茨木市)に産着のまま捨てられていたところを酒呑童子に拾われ、
茨木の名をつけて養われたとあります。
また「摂陽研説」では、
茨木童子は川邊郡留松村(尼崎市の一部)の子でしたが、
生まれながらに牙が生え、髪が長く、眼光があって成人以上に力があったので、
一族はこの子を怖れて島下郡茨木村の辺りに捨て、酒呑童子に拾われたとか。
また、茨木市の伝承では、水尾村(現・茨木市)の生まれでしたが、
16ヶ月の難産の末に生まれ、
生まれたときにはすでに歯が生え揃い、
しかもすぐに歩き出して鋭い目つきで笑ったため、
お母さんはショックで亡くなったんだそうです。
お父さんは鬼のような赤子を持て余し、
隣の茨木村の九頭神(くずがみ)の森近くにある髪結床屋の前に捨て、
以後茨木童子は子のいなかった床屋夫妻の子として育ったそうです。
幼くして体格も力も大人を凌いだ童子を床屋も持て余しましたが、
仕事を教えて落ち着かせることにします。
床屋の仕事に励む茨木童子でしたが、
ある日、童子は誤ってかみそりで客の顔を傷つけてしまい、
あわてて指で血をぬぐったものの、
指をきれいにしようと血をなめるとその味が癖になってしまったとか。
以後、茨木童子はわざと客の顔を傷つけては血をすするようになります。
これはいけないと床屋に怒られた童子、
しょんぼり気を落として近くの小川の橋にもたれてうつむいていると、
水面に写る自分の顔がすっかり鬼になってしまっているのに気づき、
床屋には帰らずに北の丹波の山に逃げ、
やがて酒呑童子と出会い家来となったという。
なお、このときの橋は
「茨木童子貌見橋(すがたみばし)」
と呼ばれていたそうですが、
残念ながら今は残っておらず、跡地に碑が立っているそうです。
●渡辺綱との戦い
頼光四天王の筆頭で頼光陣営のNo.2 渡辺綱と、
酒呑童子陣営のNo.2茨木童子は、いわゆるライバル的な感じで因縁があります。
その物語は、「前太平記」や「御伽草子」、
歌舞伎の「茨木」や「戻橋」、能の「羅生門」、長唄の「綱館」に伝えられています。
それぞれ細部のディテールは異なっていますが、
ストーリー的にはいずれも、「渡辺綱が茨木童子の腕を切り落とすが、茨木童子は腕を取り戻しに綱の元へやってくる」というものです。
一条戻橋のおはなし。
茨木童子のお話で有名なものが
「一条戻橋」でのエピソード。
一条戻橋は、平安京造営のときに平安京の北、「一条大路」に堀川を渡る橋として架けられた橋。
「戻橋」という名前の由来については、
「撰集抄」にて、三善清行という人の葬列がこの橋を通った際、
父の死を聞いて急ぎ帰ってきた修行中の子 浄蔵 が棺にすがって祈ると、
清行が雷鳴とともに一時生き返って戻り、父子が抱き合ったというエピソードからです。
さて、茨木童子の話に戻りますが、
ある夜、渡辺綱が一条戻橋でを通った時、
真っ暗な夜には似つかない若い美女に会います。
なぜこんな夜更けにお供もつけずに女性が一人で?
と綱は不審に思いますが、
困っているレディーを放っておくわけにもいかず、
「お送りしましょう。」
と、綱は女性を馬に乗せてあげます。
すると突然、女性は突然鬼の姿に変身。
綱の髪の毛をむんずと掴んで空中に飛び上がり、
京都府京都市右京区の北西部、
山城国と丹波国の国境にある山の愛宕山に連れ去ろうとします。
綱は慌てず、名刀「髭切」で鬼の腕を切って難を逃れました。
ちなみにこの名刀、このエピソードにちなみ、髭切から「鬼丸」に改名されたそうです。
うん、その方が絶対かっこいい。
綱は、切り取った鬼の腕を源頼光に見せ、
頼光が陰陽師の安倍晴明に相談したところ、
「必ず鬼が腕を取り返しにやって来るから、
七日の間家に閉じこもり物忌みをし、その間は誰も家の中に入れないように」
と言われました。
それから数日間、茨木童子はあらゆる手を用いて綱の屋敷へ侵入しようとしますが、
綱の唱える仁王経や護符の力で入ることができず、
ぐぬぬ。
まあ、この手の話ではお約束どおりですが最終日に事件は起きます。
ついに七日目の晩、
突然、摂津の国から綱の伯母・真柴(ましば)が綱の屋敷にやってきます。
綱は事情を話し決して伯母を屋敷に入れなかったが、
年老いた伯母は
「幼いころ大切に育ててやったのに、家にも上げずにこの仕打ちかい!ヨヨヨ」
と嘆き悲しみ、
これには綱も大弱り。
仕方なく言いつけを破って伯母を屋敷に入れると、
伯母は、綱が切り取ったと言う鬼の腕を見たいと言いだします。
いやいや、伯母さんよ。と綱も思いますが、しゃあなしで見せてあげました。
伯母は腕を手にとってじっくり見ていましたが、突然、鬼の姿に変身。
なんとこの伯母、実は茨木童子の化けた姿だったのです。
うん、知ってた。
そして腕を持ったまま飛び上がり、破風を破って空の彼方に消えたといいます。
腕を取り戻した後の茨木童子の行方は定かではありませんが、
摂津の民話では、しばしば実家に帰った話や、実家に帰ったが追い返された話などがあるそうです。
とはいえ以降、茨木童子が出てきて悪さをするという話はなくなりました。
羅生門のおはなし
渡辺綱が茨木童子の腕を切り落とすストーリーは、羅生門のバージョンもあります。
大江山の鬼退治が終わってしばらくした頃、
源頼光以下四天王たちが集った酒宴の席で、
最近、羅生門に鬼が出るんだってよ。という話になった。
ならばとメンバー全員で度胸試しに出かけます。
武士のメンタルは基本的にヤンキーです。
「まさか鬼の生き残りがいるわけがないよね。」
と思っていた綱、
自分の番になって中に入ると鬼に遭遇。
しかもその鬼は酒呑童子の手下の茨木童子。
格闘の末、その腕を切り落としました。
その後は一条戻橋のお話と同様に茨木童子は姿を変え、腕を取り戻しに現れます。
ちなみにこの鬼はもともと茨木童子とは別の鬼と考えられています。
しかし、伝承が伝わるうちに同一視されたり、あえて話をまとめたりといった形で統合されたんだそうですよ。
●その他のよもやま
女装が得意。
もともと美少年だった茨木童子ではありますが、
上記の通り、一条戻橋で夜中に美女の姿で現れたり、
渡辺綱の伯母さんに化けて斬られた腕を取り返しに来たり、
また、羅生門のエピソードでも、
一説には綱が遭遇したのは美女に化けた茨木童子だったというものもあり、女装が得意なよう。
おそらく趣味なんだと思います。
また、諸説あるものの、
実は茨木童子は
「男の鬼ではなく、女の鬼だった」
という説もあるそうで、
はては彼の恋人で、二人で仲良く京都を目指したという説も伝わっているんだとか。
大江山で酒呑童子が討伐されたときも、
茨木童子が女性だったので鬼と見なされず殺されなかったという説もあるそうです。
そんなわけで茨木童子の紹介でした。
ちなみに、茨木童子にゆかりのある大阪府茨木市には、
マスコットキャラクター(観光特任大使)の「いばらき童子」くんがいて、とてもかわいいです。
ぜひ見てみてください。
なお、おとなりの高槻市の埴輪をモチーフにした「はにたん」もかわいいのでおすすめです。
なお、このブログは、気になったことを調べ、
学んだ内容とイラストを紹介するお絵描きブログです。
ソースは主にWikipediaなどになりますので、
学術研究ではなくエンターテイメントとしてお楽しみください。
興味のきっかけや、ふんわりしたイメージ掴みのお手伝いになればうれしいです。
茨木童子-wikipedia
渡辺綱-wikipedia
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