七福神 神話・伝説

74 伝説のチームを紹介する試み 七福神⑤弁財天

伝説のチームを紹介する試み、
福の神のドリームチーム七福神 編。
学徳成就・諸芸上達の神様 弁財天の紹介です。



七福神は日本において民間で信仰されている福徳の神の集まり。
一般的には、

大黒天
恵比寿
毘沙門天
弁財天
福禄寿
寿老人
布袋尊


とされており、
インド、中国、日本とそれぞれの国から集まった国際的なグループです。
七柱の面々はそれぞれが
ヒンドゥー教、仏教、道教、神道といったルーツを持っていているわけですが、
独自にいろいろな要素が習合したり変化したりして今の形になっているのが面白いところ。

「弁天さま」
とコンパクトに呼ばれことも多いですが、
七福神の一柱としては
「弁財天」と表記されることが一般的な弁財天は七福神の紅一点。


元はインドのヒンドゥー教の女神、
サラスヴァティー神。
大黒天、毘沙門天と同様にルーツをインドに持つフロムインディア勢の一員です。

仏教に取り入れられてからは、
音楽・財福・知恵をつかさどる天女となり、
図像としては、
宝冠をつけ、琵琶をひく姿で描かれます。

基本的には大陸風の着物を着て描かれますが、
時にはスッポンポンではっちゃけた姿の時もあります。

ステージでテンション上がりすぎて脱いじゃうミュージシャン、たまにいますよね。

木造弁才天坐像(1266年(文永3年)作、重要文化財、鶴岡八幡宮所蔵)
帰属:著者不明著者不明, パブリックドメイン, via Wikimedia Commons


弁財天

サラスヴァティーとは。

弁財天は仏教が日本に伝来した際、
金光明経」を通じて中国から伝えられました。

金光明経は簡単に言えば、
「この教えを読んで広め、
王が正しく政治を行えばいろんな神様が
国を守ってくれますよ。」
といったことを説いた経典です。



サラスヴァティーは、
サンスクリット語で「水(湖)を持つ者
という意味で水辺に描かれることが多く、
水と豊穣の女神であるとされています。

現在は砂漠に干上がり、無くなってしまった
サラスヴァティー川の化身であり、
流れる川が転じて、
言葉や弁舌、音楽など流れるもの全般の女神となったそうです。

その容姿は、
白い肌で額には三日月の印、
白い衣を纏っています。
4本の腕を持ち、
2本の腕に数珠とインドの聖典のヴェーダ、
残りの腕で琵琶に似たヴェーナという弦楽器を持っています。

ヴェーダとヴェーナですが、そんなにややこしくはないですね。

サラスヴァティー
帰属:ラジャ・ラヴィ・ヴァルマ, Public domain, via Wikimedia Commons


乗り物は白鳥か孔雀とゴージャス。
もしくは白い蓮華の上に座っています。


ヒンドゥー教の創造神ブラフマーの妻。
なのですが、
インド神話特有のぶっ飛びエピソード、
もちろんあります。


サラスヴァティーはブラフマーが自らの体から生み出した女神でしたが、
そのあまりの美しさにガチ恋しちゃったブラフマーは妻に娶ろうとします。

サラスヴァティーもさすがに困惑。
でもそんな困ったサラスヴァティーもかわいい!
と、彼女を常に見ていたいと思ったブラフマー。
いつでも見ていられるようにと、
前後左右に4つの顔を作り出し
上に逃げたサラスヴァティーも見たいやん?と、
上向きに5つめの顔を作った時、

サラスヴァティーは、
「ああ、これはもう無理やわ。」
と、諦め観念して結婚。
二柱の間には人類の始祖マヌが生まれます。

狂気しか感じないドン引きエピソードです。

ちなみに、上向きの5つめの顔は、
後にシヴァ神に切り落とされます
こっちはこっちでやんちゃが過ぎます。


弁財天

神仏習合と、別バージョンも。

日本の弁財天は、
同じく女神の吉祥天など、他の神様達の一面を吸収、
インドや中国で伝えられるそれらとは微妙に異なる性質を持っています。

日本の信仰においては、
仏教の神仏が本当の姿で、日本の神様はそれらが別の姿で現れたものだとする、
本地垂迹という考え方があり、
「実はおんなじ人でしたー。」という解釈ですが、
この考え方によると、
スサノオの娘達である海の神様、
宗像三女神の一柱、市杵島姫命(いちきしまひめ)と同一視されることが多く、
古くから弁財天を祀っていた神社では、
明治時代の神仏分離以降、市杵島姫命を祀っているところが多いようです。
また、別の神様の瀬織津姫(せおりつひめ)が弁財天として祀られていることもあります。

信仰自体は古く、
奈良時代から続くという話もあり、
「金光明最勝王経」という、
名前がものすごく強そうな経典のなかでは、
弁財天は金光明経を人に説いたり、智慧、長寿、富を与えるとされています。

この経典において弁財天は護法神として登場し、
従者を率いて伎楽を行い、
金光明経を守ってあらゆる病苦を除く役割を果たします。

弁財天の呪文(陀羅尼)を唱えれば、
所願が成就し、多くの財を得ることができ、
身長も伸びて彼女もゲットできるとか。

後半はウソですが、
このご利益が弁財天が福徳の仏とみなされる所以となり、
ご利益にあやかって弁財天への信仰が流行。
七福神に数えられる神様となっていきます。


また、弁財天の姿には、
いくつかのバリエーションがあり、
8本の手に弓や刀、斧、金剛杵、鉄輪、羂索(投げ縄)といった武器や道具を装備した
戦闘神としてのバージョンや、
お爺さんの顔に体がヘビという神様の宇賀神と合体した、
宇賀弁財天というモードもあります。

ちなみに宇賀神、
中世以降に信仰された神様で財をもたらす福神とされています。
しかしながらその出自は詳しくはわかっておらず、
人間の顔にヘビの体という不思議ビジュアルも相まって謎の多いミステリアスな神様です。

三室戸寺の宇賀神石像
帰属:やなじん33, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

弁財天

日本の弁財天信仰。


近世になると弁財天は「七福神」の一員としても信仰されるようになります。

室町時代の文献によると、
大黒天・毘沙門天・弁財天のインドトリオでの活動もあったようで、
この三尊が合体した三面大黒天の像を、
天台宗の開祖、最澄が祀ったとされ、
大黒・恵比寿コンビの信仰と合わせて、
七福神というグループが成立する基になったと見られています。

初代プロデューサー 最澄

上記の通り、
もともとはインドで川の神様だったわけで、
平安初期から末期にかけて、
井戸、ため池、河川の治水といった水に関する日本全国で仏僧たちが手がけた事績や、
海の神である市杵島姫命との習合により、
泉、島、港湾の入り口などに弁天社や弁天堂が数多く建てられ、祀られたそうです。

また、地名としても、
現在に至るまで「弁天島」、「弁天池」といった名称で残っているものもあり、
海や湖、川など水の周りに関係が深くなっています。


日本各地で弁財天を祀る寺社仏閣は数多く、

滋賀県の琵琶湖に浮かぶ竹生島の、
宝厳寺竹生島神社、
広島県、宮島の大願寺
神奈川県、江ノ島の江島神社

日本三大弁天と呼ばれています。

また、鎌倉市の銭洗弁財天宇賀福神社では、
境内奥の洞窟内の湧水で持参したお金を洗うと数倍になって返ってくるという信仰があるそう。
なけなしのお金を持ってぜひ行ってみたいです。

ちなみに弁才天の縁日は、
干支で巳の日とされており、
60日に一度巡ってくる己巳(つちのとみ)の日は
特に縁起の良い日とされているそうですよ。



そんなわけで今回は、
七福神の紅一点、弁財天の紹介でした。
学芸や知恵の守り神、ご利益にあやかりたいところですね。

それでは、次回もよろしくお願いします。




参考:
七福神- Wikipedia
弁財天-Wikipedia
サラスヴァティー-Wikipedia

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