伝説のチームを紹介する試み、
福の神のドリームチーム七福神 編。
今回は、勝運上昇・家内安全の神様
毘沙門天の紹介です。
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七福神は日本において民間で信仰されている福徳の神の集まりです。
一般的には、
大黒天
恵比寿
毘沙門天
弁財天
福禄寿
寿老人
布袋尊
とされており、
インド、中国、日本とそれぞれの国から集まった国際的なグループです。
七柱の面々はそれぞれがヒンドゥー教、仏教、道教、神道といったルーツを持っていているわけですが、
独自にいろいろな要素が習合したり変化したりして今の形になっているのが面白いところ。
毘沙門天は、大黒天、弁財天と同じく、
ルーツをインドに持つフロムインディア勢の一員。
元はインドのヒンドゥー教の財宝の神様でしたが、
仏教に取り入れられてから、戦いの神、勝運の神様として次第に信仰されるようになりました。
現在の日本でメジャーなイメージでは、
七福神の中の一員として特に勝運を司る「福の神」のイメージと合わせ、
仏法の守護神である天部の1柱というものがあります。
その場合、持国天、増長天、広目天とともに、四天王に数えられ、
チーム四天王の中では多聞天の名前で活動。
北方の守護担当です。
七福神やソロの場合は毘沙門天、
四天王の場合は多聞天なので、
毘沙門天 aka 多聞天 from 四天王 です。
●七福神唯一の武神。
腕っぷしも強いです。
上記の通り、四天王の1人でもある毘沙門天。
甲冑を着込み、七福神の中でも一番強そうなビジュアルをしており、
インドではヴァイシュラヴァナと呼ばれます。
もう強そう。
ヴァイシュラヴァナが漢訳され、毘沙門(びしゃもん)天という名前になりました。
「ヴァイシュラヴァナ」と「ビシャモン」でちょっと違う感がありますが、
多分、初めて聞いて訳した人も、
「え?もっかい言って?」となったんでしょう。
純粋な強さでは、
同じフロムインディア勢の中に、
破壊100%のヤバい人、
「偉大なる暗黒」の方もいるのでなんとも言えないところではありますが、
甲冑に身を固め、右手は宝棒や三叉戟、左手は宝塔を捧げ持つ姿はかなり強そうです。
中国の民間信仰においては緑色の顔で右手に傘、左手に銀のネズミを持った姿とされ、
チベット仏教では金銀宝石を吐くマングースを持つ姿で表されます。
何故マングース?
ともかく、
銀のネズミや財宝を吐くマングースというわけで、
もともとのインドでの財宝神としての性格を残しているんですね。
お釈迦さまが生まれた際に帰依し、
しばしば天部や他の人間からの伝言を、
釈迦とその弟子たちに伝えて彼らを守護しました。
また、林のなかで修行する比丘・比丘尼が、仏法に従わない危険な夜叉や超自然的な存在から襲われないようにするための護呪
「アーターナーティヤの護法」をお釈迦さまに伝えたとともいいます。
中央アジアを経て中国に伝わる過程で武神として認識されて信仰が始まり、
四天王の一尊たる武神・守護神とされるようになりました。
ヴァイシュラヴァナを中国で音写したものが毘沙門という話を上で出しましたが、
なんでも、この言葉は「よく聞く所の者」という意味にも解釈できるそうで、
多聞天(たもんてん)とも訳されます。
毘沙門天は、帝釈天の配下として、
仏の住む世界を支える須弥山の北方、水精埵の天敬城に住みます
もしくは、古代インドの世界観で地球上にあるとされた4つの大陸のうちのひとつ、
北倶盧洲(ほっくるしゅう)を守護するとも。
夜叉、羅刹といった鬼神を配下とし、
密教では十二天の一尊で北方を守護するとされます。
上記の通り、日本では四天王の一尊として造像安置する場合は「多聞天」、
独尊像として造像安置する場合は「毘沙門天」と呼ぶのが通例。
日本における毘沙門信仰の発祥としては平安時代、
京都の鞍馬寺からですが、
中世を通じて、福の神として恵比寿、大黒天に並ぶ人気を誇るようにもなります。
室町時代末期には日本独自の信仰として七福神の一尊とされ、江戸時代以降は特に勝負事に利益ありとして崇められました。
●財宝神 クベーラ
クベーラについて。
毘沙門天こと、ヴァイシュラヴァナは、
ヒンドゥー教にはおいてはクベーラともいいます。
クベーラは地下に埋蔵されている財宝の守護神であり、
「世界を守るもの」を意味する、
4方位または8方位を守護する神たち、
ローカパーラの1人として北方の守護神とされるそうです。
クベーラの出自としては、
ヤクシャ(夜叉)の王であり、
ラクシャーサ(羅刹)の王であるラーヴァナは異母兄弟。
ラーヴァナはどこかでいずれ出てくると思います。
ちなみに、夜叉、羅刹、修羅、いずれもインドの悪鬼のこと。
諸説ありますが、
夜叉は森に棲み、
羅刹は水に棲み
修羅は神様とは別種族の戦闘神。
という感じみたいです。
まあ、ざっくり日本語でくくると全部 鬼 です。
ただし、もともとクベーラに戦闘的なイメージはほとんどなく、
初期仏教の段階でも
仏塔の守護者として配置・利用されていたよう。
クベーラはシヴァ神と親しく、
カイラス山にある都アラカーに住んでいて、
ヤクシャをはじめ、ガンダルヴァ、ラークシャサなど多数の半神族に奉られています。
千年の修行を行い、
それが創造神ブラフマーに気に入られ、神となることができました。
ブラフマーは善悪を問わず、基本的にがんばって修行する子が大好きです。
また、大洪水で世界の財宝が海に沈んだ時、
その財宝は海に棲む蛇神族のナーガ達ものとなりましたが、
乳海撹拌のときに神々がナーガから取り戻し、
クベーラはその宝物を監視する役割を負うことになります。
蛇の化身であるナーガとの対立する関係であることから、
クベーラは蛇の天敵であるマングースを連れているというわけです。
まさかの伏線回収。
なお、ヒンドゥー教の神様には名前が似ているクンビーラがいますが、
クンビーラとクベーラは名前が似ているだけで全くの別人、いや別神です。
ややこしい。
クンビーラはガンジス川の神で、
ガンジス川に住むワニを神格した存在。
訳した漢字表記に、日本でお馴染みの「金比羅」があります。
こんぴらふねふねですね。
元々は夜叉だったクベーラが、
ヴァイラシュラヴァナ・毘沙門天という神に変化していった背景には、インドの中心部から北に遠く離れたガンダーラ地方で仏教美術の題材として人気が出たことも関係しているようです。
北のガンダーラでライジングしたので、毘沙門天は「北方の守護者」となっているのかも知れません。
●毘沙門天の家族と部下たち
愛妻と息子と家来がいます。
毘沙門天、実は家族と部下がいます。
奥さんは吉祥天。
吉祥天もまた仏教の守護神である天部の1つ。
もとはヒンドゥー教の女神ラクシュミーが仏教に取り入れられたものです。
仏教においては、
父は徳叉迦(とくさか)、母は鬼子母神。
鬼子母神については以前のこちらの記事でも少し触れています。
吉祥とは繁栄・幸運を意味し、
吉祥天は幸福、美、富を象徴する神様。
日本においては、お寺だけでなく神社でも信仰の対象としているところもあるメジャーな女神です。
時には弁財天や、または福禄寿の代わりに七福神に入ったり、レギュラーの七福神に吉祥天を加え八福神として信仰している地域もあります。
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また、その両人の間に子供は5人と子沢山。
毘沙門天をピンでお祀りする場合、
両脇に吉祥天と末っ子の善膩師童子(ぜんにしどうじ)を脇侍として三尊形式で祀られることが多いです。
ちなみに三男で真ん中のお兄ちゃんは、
哪吒太子(なたたいし)であり、最遊記や封神演義でもお馴染みです。
また、毘沙門天二十八使者という28体の夜叉を従えています。
●毘沙門天と動物
諸説ありますが、
七福神には神使となる動物がいます。
大黒天ならネズミ、
恵比寿さんなら鯛、
弁財天はヘビ、
福禄寿は鶴、
寿老人は鹿、
布袋尊は元人間なので特になしですが、うさぎとともに描かれることがあります。
では毘沙門天は?といいますと、
上記のネズミやマングースが一緒に描かれたり、
毘沙門天が本尊の奈良県の信貴山朝護孫寺では、
聖徳太子が寅の年、寅の月、寅の日、寅の刻、
毘沙門天の加護によって物部守屋に勝利したという逸話になぞらえて、
虎がパートナーとなっており、寺の至る所に張り子の虎が置かれています。
また、神使としてムカデが挙げられることもあります。
ムカデはバックができないので、
戦の時、退かず前に前に進撃するということや、
たくさんの足を持つことから、
軍が心を一つに足並みを揃えて勝利に向かう。
とのことで多くの戦国武将にも好まれたモチーフ。
勝運を司る毘沙門天にピッタリです。
パートナーのアニマルっていいですよね。私も欲しい。そういうの。
ちなみにムカデを毘沙門天の使いとするのは日本独自の信仰だそうです。
そんなわけで七福神随一の武闘派、
毘沙門天を紹介しました。
七福神というグループの他にも、
四天王という職場の同僚や、愛する家族。
色々な集団に所属し、
その中で様々な顔を持ち働く姿は
まさに「現代のがんばるお父さん」
そんなイメージも浮かびますね。
次回も七福神のメンバーを紹介します。
よろしくお願い致します。
参考:
七福神- Wikipedia
毘沙門天-Wikipedia
クベーラ-Wikipedia
吉祥天-Wikipedia
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