気になる事柄を学ぶシリーズ 豆知識

69 気になる事柄について学ぶシリーズ#1 六曜

2024年7月1日

今回は気になる事柄について学んだことを書いていくシリーズです。
「よく聞くけど、そういえばあんまり詳しく知らないなあ。」
という内容を調べて文章にし、
ついでにキャラとして描くことで覚えたり理解したりしやすいようにする試みです。

シリーズ1回目の気になる事柄は、
日本で使用されている暦の記載「暦注」。
その日の吉凶を表した「六曜」です。





六曜(ろくよう、りくよう)は、
暦に記載される、日時や方位などの吉凶、
その日の運勢などの事柄である「暦注」のひとつです。

一般のカレンダーや手帳にも記載されていることが多く、現代でも大きな影響力を持っています。

内容としては、
先勝(せんしょう、せんかち)
友引(ともびき)
先負(せんぷ、せんぶ、せんまけ)
仏滅(ぶつめつ)
大安(たいあん)
赤口(しゃっこう、しゃっく)
の6つの曜があり、基本的にはこれらがローテーションするわけですが、
「結婚式は大安がよい」「葬式は友引を避ける」と言った具合に主に冠婚葬祭、
また、家や車などの資産の購入など重要なライフイベントにも結びついて使用されております。

六曜一覧

キャラもつくってみました。
ホラー感強めな感じの絵柄ですが、
別に全然そんなことないです。
暦のマークをイメージしてキャラクターをデザインしました。

ちなみに、
暦のなかで一番値メジャーというかマストなものが、
月火水木金土日の七曜 ですが、
これとこんがらがるとややこしいことこの上ないので、
六曜は六輝(ろっき)や宿曜(すくよう)という呼ばれ方もします。

まずは彼らを紹介しましょう。





先勝

先勝(せんしょう、せんかち)



先勝は、かつては「速喜」「即吉」とも書かれたそうで、
早くことを済ませてしまうことが良いとされる日。

「先んずれば即ち勝つ」

の意味で
「午前は吉、午後は凶」
と言われています。

何事もさっさと終わらせるのが良い 先手必勝 の日なので、
急用の処理や訴訟には吉日とされているようです。

なお、六曜の考え方では14時くらいまで午前なのでわりとしっかり良い日です。
それまでにじっくり処理してください。
14時までに仕事は終わらせて、午後はゆっくり。
そして早く寝るのが吉です。



友引

友引(ともびき、ゆういん)



友引は、勝負の決着がつかない、良くも悪くもないとされる日。

「ともに引き分け」

なので「共引き」ということですね。
そこから転じて「勝ち負けなし」「友を引き寄せる」などと解釈すれば佳日として扱われることも。
朝晩は吉、昼は凶と言われています。


「友を引く」ということで、
友引の日に葬儀を行うと
「友が冥土に引っぱられる」(=死ぬ)ので葬儀を避ける。
という俗信があり、
葬祭関連業や火葬場は友引の日は休業となっていることもあります。
が、
そもそも六曜は仏教とは関係ないため、
友引休業を廃止する自治体も増えているそうです。

ちなみに、
六曜と関係ない友曳(ともびき)というのもあり、
この友曳は十二支由来で、
「該当日に友曳方の方角へ出かけたり葬儀を営むことを避ける」
という習俗なのですが、
音が同じことから混同された模様。
また、陰陽道で、ある日ある方向に事を行うと災いが友に及ぶ 友引日 というものもあり、
これらが六曜の友引と混同されたとみられています。

逆にお祝いごとの場合、前述の「勝ち負けなし」を「夫婦円満」と解釈し、
幸せのお裾分けという意味で結婚披露宴や引出物の発送をこの日にする人もいます。


なお友引のルーツは中国語の「留引」で、
現在あることが継続・停滞することを表します。
良き事象なら継続を、悪き事象なら対処を、という「状況を推し量り行動する日」だったのですが、
これ、「ゆういん」と読み、
音が同じ「友引」になり、
これまた訓読みとなって「ともびき」と読み方を当てはめたそうです。

そもそも「友を引く」こととは関係がなかったわけです。



先負

先負(せんぶ、せんぷ、せんまけ)





先負は、先勝とは逆に

「先んずれば即ち負ける」

の意味で、
急用は避けるべきとされる日。
争い事や公事も良くないといわれ、万事に平静を守ることが良いとされます。

先勝に対応するようなイメージですが、
「後勝」ではなく「先負」なので、
先勝の反対で午後はラッキーということではなく、
先んずれば負けることがポイント。

午前は凶、午後はマシという感じなのかなと思います。
(午後は吉といわれることもあります。)



仏滅

仏滅(ぶつめつ)




仏滅は、六曜における大凶日です。

もとは「虚亡」「空亡」とも称され、
勝負なしという意味。
勝ち負けがなくて全てが虚しく、
全ての物事が滅するので「物滅」と呼ぶようになり、
そこから転じて、
「仏の功徳もないアンラッキーデーだ」
というわけで「仏」の字が当てられ現在の仏滅の表記になりました。

ちなみにブッダ入滅の日、2月15日は仏滅になるので、
お釈迦さん由来と思われることも多いですがこれはたまたまです。
仏教とは関係ないです。


仏滅は万事に凶であるとされ、
婚礼などの祝儀を忌む習慣があるので、
仏滅に結婚式を挙げる人は少なく、仏滅には料金の割引を行う結婚式場もあります。

「何事も遠慮する日病めば長引く、
仏事はよろしい」
ともいわれる一方、「物滅」だけに「物が一旦滅び、新たに物事が始まる」と解して、
「大安」よりも物事を始めるには良い日との解釈もあるそうです。



大安

大安(たいあん)



大安は、万事進んで行うのに良く、最も吉の日とされます。

「大いに安し」
の意味で何事においても吉、
成功しないことはない日であり、
万事問題なく進む最も安定した日。

「泰安」が元になっており、
婚礼や建物の基礎工事着工日や引渡日、自動車の登録日や納車日などをこの日にするという人も少なくないようです。

なお、結婚式を大安に挙げたからといって離婚する場合もありますし、
大安に結婚したという人が多いということは、
離婚したカップルの結婚の日が大安だった率も高くなるわけで、「縁起が良い日」くらいの認識で臨むべきでしょう。



赤口

赤口(しゃっこう、しゃっく)



赤口は、正午の前後を除いて凶日とされる日。
午の刻(午前11時ごろから午後1時ごろまで)のみ吉で、それ以外は凶とされます。
この日は「赤」という字が付くため、
火の元や刃物など「死」を連想されるものに注意する日とされます。

この赤口、
陰陽道の赤舌日(しゃくぜつにち)と赤口日、
あるいは大赤(たいしゃく)が混じって凶日として六曜の一つになったといわれています。

なお赤舌日は木星の西門を支配する赤舌神が司る日とされ、
交代で門を守る配下の六鬼のうちの3番目、
人々を威嚇する羅刹神がジャマするのでこの日は訴訟や契約は避けるべきとされました。
また、赤口日は木星の東門を支配する赤口神が司る日とされ、
配下の八大鬼の4番目の嶽卒神が人々の弁舌を妨害する存在なので、この日も訴訟や契約は避けるべき。
とされたそうです。

ちなみに赤舌日は6日周期、赤口日は8日周期で異なる周期ですが、
六曜の一つに「赤口」としてまとめられ取り込まれたと考えられています。


六曜は「先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口」の順で繰り返し、
旧暦の毎月1日の六曜が固定されています。(閏月は前の月と同じになる。)

1月、7月 先勝
2月、8月 友引
3月、9月 先負
4月、10月 仏滅
5月、11月 大安
6月、12月 赤口

ただし、旧暦に合わせて設定されているため、
現在使用されている新暦(太陽暦)では、規則正しく循環していたものが突然途切れたり、同一の日の六曜が年・月によって相違していたりします。
旧暦と新暦が対応しないことが六曜に神秘性を与え、冠婚葬祭で六曜を気にかける一つの要因になっているといわれています。



六曜の起源も諸説ありますが、
意外にも三国志で有名な諸葛孔明が発案したという説があり、
これは孔明六輝と呼ばれていますが、果たして本当なのか、また三国時代に六曜があったかも疑わしいそうです。

諸葛亮 孔明

一般的には、六曜は中国の「六壬」が変化したものであると考えられており、
もとは唐の時代に発案された「六壬時課」という、
1日を6つに分けてその時刻の吉凶を占うものだったそう。

日本には鎌倉〜室町時代頃日本に入ってきたと考えられています。
ただし、当時はあまり広まらなかったようで、
江戸後期になってから庶民の間で流行します。

日本における「六曜」という言葉は元禄9年(1696年)の「六曜私」に見られ、
現在の六曜との関係は明確でないものの、
「先勝」「友引」「先負」という言葉も現れています。

江戸時代に庶民の間で大変バズった六曜ですが、
明治維新後、
西洋化して先進国にならにゃあいかん。
という方針から政府によって禁止されます。
文明開花のこの時代にそんな迷信信じてどうする?というわけです。

明治5年には、
それまで採用されていた太陽太陰暦「天保暦」を改めることを太政官布告にて発し、
同年11月、続いて発された布告にて、
「今般太陽暦御頒布に付、来明治6年(1873年)限り略暦は歳徳・金神・日の善悪を始め、中下段掲載候不稽の説等増補致候儀一切相成らず候」
と、非科学的で文明化を妨げるものはやめます宣言 がでます。

1万円札でおなじみの福沢諭吉も、

これまでの暦にはつまらぬ吉凶を記し
黒日の白日のとて訳もわからぬ日柄を定たれば、
世間に暦の広く弘るほど、迷の種を多く増し、
或は婚礼の日限を延し、或転の時を縮め、或は旅の日に後れて河止に逢ふもあり。
或は暑中に葬礼の日を延して死人の腐敗するもあり。

一年と定めたる奉公人の給金は
十二箇月の間にも十両、十三箇月の間にも十両なれば、
一箇月はたゞ奉公するか、たゞ給金を払ふか、
何れにも一方の損なり。

其外の不都合計るに遑あらず。
是皆大陰暦の正しからざる処なり。
〈略〉故に日本国中の人民此改暦を怪む人は必ず無学文盲の馬鹿者なり。

これを怪しまざる者は必ず平生学問の心掛ある知者なり。
されば此度の一条は日本国中の知者と馬鹿者とを区別する吟味の問題といふも可なり。


と、えらい口が悪いですが、
「太陰暦は正しくないし、六曜みたいな迷信信じてるのはバカです。
そして、旧暦や六曜とかバカ発見器で草WWW」 と否定しています。

こんなかんじで
太陽暦へ改暦されるにあたり、
「吉凶付きの暦注は迷信である」
として、政府は吉凶に関する暦注を一切禁止。
尋常小学校教科書にも迷信を信じるなと記載されたそうです。


しかし、暦注の廃止は人々の反発を招き、
明治15年頃から俗に「オバケ暦」と呼ばれる暦注が満載の民間暦が出回るようになりました。
吉凶の暦注は一切排されるはずだったんですが、
反発への妥協案として政府発行の官歴には天文・地理現象、神道行事等を乗せ、
略本暦に旧暦と六曜を附すという形で存続します。
暦注追放を経て六曜がかえって重視されるようになったといわれています。


第二次大戦後は、政府による統制も廃止され、
六曜などの暦注を付したカレンダーも一般に販売され広く用いられています。

しかし、言ってみれば根拠のない迷信であること、
無用な混乱を避けるなどの理由により、
行政界隈や公共機関発行のカレンダーでは使用せず、
掲載を取りやめるよう行政指導を行っている機関もあります。

また、公共機関ではない一部団体でも
「六曜のような科学的根拠のない迷信を信じることは差別的行為につながる恐れがある」
などの理由から、積極的な廃止を求めているそうです。


現代でも、冠婚葬祭の日程を決める時には六曜を意識して決める人はおり、
気にする人の場合では先述の冠婚葬祭以外にも、
お祝いの品を買う時や持って行く時、
お見舞いに行く時、
引っ越し、
納車、
家を建てる時、
宝くじを購入する時、
新しい鞄や靴をおろす時、などなど、
いろいろな事柄に大安の日を選ぶという人もいるそうです。

若い世代では、
「自分たちは気にしないが、親や祖父母や結婚式場のスタッフに言われたから。」
「参加者に非常識だと思われないように。」
など、世間体を気にして仕方なく六曜を考慮しているケースも多いです。
また最近は六曜の記載がないカレンダーが増えてきたことや、携帯電話等で予定を管理するなど、
カレンダーやスケジュール帳自体を購入しない10代・20代の若者も増えているので、六曜を知らないという人も少なくはないようです。


上記の通り、仏滅や友引なんかは仏事と関連のあるようなイメージですが、
仏教との関係はなく、字からそう見えるだけです。
そもそも仏教では、本質的に因果関係によって物事が決まるというスタンスなので、
「占いを盲信して本質がおろそかになればかえって悪い結果になる」
として、占いを否定しているんだとか。
日本仏教の大メジャー、浄土真宗でも開祖の親鸞から
「日の吉凶を選ぶことはよくない」
と否定されています。


つまるところ、何事もある面からの見え方と別の面の見え方で解釈が変わることもあるし、
日柄の縁起の良さも深く気にしすぎず、
なにかやりたいときに
「そういえば今日は大安だから、やってみようかな~」
くらいに軽い気持ちで、取り入れて、
振り回されすぎないようにモチベーションアップに利用するのが吉だと思います。



そんなわけで
気になる事柄について学ぶシリーズ#1 六曜
でした。
次回もよろしくお願いします。

参考:
六曜- Wikipedia



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