大罪の悪魔 神話・伝説

62 伝説のチームを紹介する試み 大罪の悪魔 ⑦

神話や伝説に登場するチームを紹介する試み、
「大罪の悪魔」編の最終回、第七回です。

「7つの大罪」とは、
キリスト教、主にカトリック教会において、
罪の根源とされる7種類のことを言います。

ラテン語や英語では「7つの死に至る罪」とされ、
人間を罪に導く可能性がある欲望や感情、悪徳のこと
それぞれは悪魔に関連付けられており、まあ、一種のチームとして紹介していきたいと思います。



ベルフェゴール

怠惰の悪魔 ベルフェゴール。

死に至る7つの罪のひとつ、怠惰
それを象徴する悪魔がベルフェゴールです。

ベルフェゴールは前回のベルゼブブと同じく、異教の神由来の悪魔で、
古代モアブで崇められた、バアル・ペオル という神様がルーツになっているそうです。

なお、「ペオル」とは裂け目の意味であり、
この神バアル・ペオル に捧げる供物を岩の裂け目に投げ込んでいたという解釈があるそうです。
「裂け目が先か、お供えが先か」という問題ですね。(←違う。)

怠惰の悪魔 ベルフェゴール

キリスト教世界におけるベルフェゴールについては、
旧約聖書「民数記」によると、モーセに率いられたイスラエルの民がモアブの地を訪れた際、
モアブの娘たちからバアル・ペオルに供物を捧げる儀式に誘われます。

イスラエルの民たちも、「郷に入れば郷に従え」というわけで、
バアル・ペオルはじめ、モアブで信仰されている神々に礼拝し、食事をともにしたところ、イスラエルの神は激おこプンプン丸。
参加した者たちを死刑にするようモーセに命令します。

ですよねー、そんな気はしてましたー。

それでも怒りは収まらず、疫病をもたらし24000人の命を奪ったとか。
この出来事は、旧約聖書では「ペオルの事件」と呼ばれています。

この事件は、邪神バアル・ペオルを信仰するモアブの人たちが誘惑し、イスラエルの民に災いをもたらした。=悪魔の仕業。
といういつものロジックで解釈され、
豊穣の神バアル・ペオル → 悪魔ベルフェゴール
となり、ベルフェゴール爆誕です。


後の悪魔学では、ベルフェゴールは好色の罪を司る存在となります。
人間界の結婚生活をのぞき見る悪魔とされ、
女性の心に性的で不道徳な心を芽生えさせる能力を持っており、そのためか女性不信です。
ある意味、自爆といえます。

中世ヨーロッパの伝説によると、こんなエピソードがあります。
ある時、魔界で「幸せな結婚生活は果たして存在するのか?」という議論が勃発。
悪魔たちは何を議論しているのか。というツッコミがまずありますが、
「じゃあ、ちょっくら確かめてくんよ。」
と、実際にそれを見るためにベルフェゴールが人間界にやってきます。

彼は様々な人間の結婚生活を観察した結果、
「幸福な結婚生活など存在しない。」という結論をだしたそうです。

これを元に書かれた小説で、
ルネッサンス期イタリアの政治思想家であり外交官、
「君主論」で有名なマキャヴェリの著作に、
「大悪魔ベルフェゴール」というものがあります。

この中で登場するベルフェゴールは、地獄の議会より結婚の調査のために派遣され、ロデリーゴ・ディ・カスティーリアと名乗ってイタリアで暮らします。
ロデリーゴはオネスタという絶世の美女と結婚しますが、
このオネスタ、ルシファー以上の傲岸さでロデリーゴを苦しめます。
最終的にベルファゴールは、結婚制度を非難しながら地獄へと戻る。という流れ。

結婚生活の幸福は人それぞれなんで、
まあ、捉え方にもよるかな。とは思いますが、秀逸ですね。
ともあれ、女性不信な性格により、ベルフェゴールと言う言葉は「人間(女性)嫌い」を示唆する言葉としても使用されるんだそうです。
明日からさっそく使っていきましょう。
より人間が嫌いになれると思います。

ベルフェゴール

ベルフェゴールの姿などなど


ベルフェゴールの姿ですが、一般に牛の尾にねじれた二本の角、顎には髭をたくわえたビジュアル。
洋式便所に座った姿で知られています。

『地獄の辞典』の挿絵、1863年
ルイ・ル・ブルトン, パブリックドメイン, via Wikimedia Commons

横に立てかけてある丸いのは、便器のフタだそうです。
常にトイレを占領されると非常に困ります。
まさに悪魔の所業。

また、一説によれば、ベルフェゴールはベルゼブブの配下であるニスロクという悪魔でもあるそうです。
このニスロク、地獄の料理長という少し変わった肩書の悪魔。
「美味による誘惑と食卓の楽しみの権威者」だそうです。

暴食の魔王の下に仕える料理人ですが、普段、基本的に便器に座ってるわけで。
料理を作るその手はちゃんと洗っているのか?というところが気になります。
ベルゼブブも「蝿の王」なので不要な心配かもしれませんけれども。

ベルフェゴールとベルゼブブ


私が描いたベルフェゴールは、
上記の一般的なイメージは忘・・・意図的に意識せずに描いてみました。
怠惰の悪魔ということでナマケモノをイメージしています。
便器に座っているイメージは強烈な個性ではありますが、便器を描くのはなんかイヤだったので、とりあえずトイレットペーパーを持っています。



そんなわけで、アンチ結婚生活、怠惰の悪魔 ベルフェゴールを紹介しました。
あんまり「怠惰」の要素がなかったな。



「大罪の悪魔」編は今回で終了です。
次回からは、少し短めですが、悪魔の天敵「四大天使」編を予定しています。
また予告編もやりますので、ひきつづきよろしくお願い致します。


参考:
ベルフェゴール- Wikipedia
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