天龍八部衆 神話・伝説

49 伝説のチームを紹介する試み 天龍八部衆編④

2024年5月17日

神話や伝説に登場するチームを紹介する試み、
引き続き「天龍八部衆」というチームのメンバーを紹介して行きます。
今回はメンバー8名のうち最後の2名、音楽系のコンビが登場です。


天龍八部衆とは、
仏法を守る守護神(護法善神)でその面々は

天(てん)衆、
龍(りゅう)衆、
夜叉(やしゃ)衆、
乾闥婆(けんだつば)衆、
阿修羅(あしゅら)衆、
迦楼羅(かるら)衆、
緊那羅(きんなら)衆、
摩喉羅伽(まごらか)

の8つの種族からなり、
元々は古代インドの神、鬼神、戦闘神、動物神、音楽神だったものが、お釈迦様の説法を聞いて仏教に帰依。
仏法と仏教徒を守るために集ったというわけです。

八部衆 集合

8つの種族というわけでその姿はいずれも個性的。

現代の私たちがその姿を見れる、最も有名な作品としては、奈良・興福寺の「乾漆八部衆立像(はちぶしゅうりゅうぞう)」があり、
今回のシリーズでは、デザインや名前の表記については興福寺のものをモチーフにしました。

興福寺の八部衆は、
天に当たるのが「五部浄(ごぶじょう)」、
龍に当たるのが「沙羯羅(さから)」、
夜叉に当たるのが「鳩槃荼(くばんだ)」、
摩喉羅伽(まごらか)に当たるのが「畢婆迦羅(ひばから)」となります。

名称が異なるのは、種族の別名なのか個人名なのかわかりませんが、
「各種族の代表者名」という解釈の方が個人的には好きです。

なお、乾闥婆(けんだつば)、阿修羅(あしゅら)、迦楼羅(かるら)、緊那羅(きんなら)はそのままです。



今回は残り2人のメンバー、緊那羅衆代表の緊那羅と、摩喉羅伽衆代表の畢婆迦羅を紹介します。

緊那羅と畢婆迦羅(摩喉羅伽)



緊那羅

緊那羅衆代表、緊那羅(きんなら)。

緊那羅も他の八部衆メンバー同様に元はインド神話に登場する神。
以前紹介した乾闥婆と同様に半神半獣の姿で帝釈天の眷属。
これまた音楽を奏でるお仕事ですが、美しい声で歌う歌の神のようです。
楽器を演奏したりダンスもするようですが、基本的にボーカルなのかなと思います。

「キンナラ」という言葉はサンスクリット語で「人か否か」という意味だそうで、その姿は半人半馬、もしくは半人半鳥で表され「馬の頭をしている」とも。
神にも人にも畜生にも鳥にも当たらない半身半獣の生物のため人非人疑神ともいうそうです。

ちなみに男性の場合はキンナラ、女性の場合はキンナリーといい、キンナラは下半身が馬、キンナリーは下半身が鳥に似ているとか。
いずれも美しい音楽を奏でて歌い、その音楽の素晴らしさにお釈迦さまの十大弟子の一人、摩訶迦葉もキャラを忘れて踊っちゃったと言われています。

そんな感じで音楽神という性格が強いので戦闘向きではないのかと思いきや、中国のカンフー総本山の少林寺と縁があり信仰されていたりします。
そのきっかけはこんな感じ。

元の時代、少林寺には炊事場で雑務を務める行者がいました。
彼は髪の毛を剃らず裸でいつも焚き付け用の棒を持っていました。

その頃は元王朝の末期で世は乱れ、紅巾の乱という反乱が勃発。
各地に紅巾軍という賊が出没して人々は不安な日々を過ごしていました。

少林寺にも紅巾軍が攻め込んできて絶体絶命のその時、例の裸の行者が突然巨大化し「緊那羅王」を名乗って賊を撃退。
彼が緊那羅王の化身とわかった少林寺の僧侶たちは、塑像と緊那羅殿を作って祀ったということです。

興福寺 乾漆八部衆立像緊那羅

興福寺の緊那羅像は、頭上に立派な一本角と額に第三の目を持った姿。
緊那羅のデザインは、この緊那羅像にならって、三つ目の一角獣という感じで描いてみました。



畢婆迦羅

摩喉羅伽衆代表、畢婆迦羅(ひばから)。

畢婆迦羅さんが代表を務める摩喉羅伽衆は、緊那羅衆と同じく帝釈天の眷属で音楽神。
つまり、乾闥婆、緊那羅、摩喉羅伽の3種族は帝釈天の事務所に所属するアーティストである。ということです。
これだけ才能が集まってるということは、仏教界ではかなり大手の事務所ということなのかと・・・

とはいえ、仏教を守護する八部衆の8名のうち3名が音楽業界の人ということになるので、メンバーのバランス的に大丈夫なのかしら?とちょっと心配になります。
麦わらの一味で言えば、8人中3人がブルックですよ。だいぶ陽気な感じですよね。

なお、摩喉羅伽衆はヘビの化身であり、ニシキヘビなどの大蛇を神格化した存在だそうです。
龍衆はコブラ、摩喉羅伽衆はニシキヘビ と差別化されていますが8人のうち2人がヘビです。

八部衆は4分の1がヘビ、4分の1が鬼、8分の3が音楽関係。
それに加えて、1人だけど実は5人の人もいるのでいろいろ大変、もめたときめんどくさそうです。

ちなみに、迦楼羅のようなノリで、体が人間で顔がヘビというパターンもあるようです。

興福寺 乾漆八部衆立像 畢婆迦羅像

興福寺の畢婆迦羅像は立派なヒゲをたくわえた男性の姿。
他の八部衆は少年っぽさがあるので、この方が最年長な感じがします。
ちなみに畢婆迦羅はサンスクリット語名が不明で謎の多い尊格だそうで、実は正体もはっきりしていないんだとか。
なかなかミステリアスです。

像のビジュアルとしてもヘビの化身感はあまり無いかな?と思いますが、表情は険しく
「あ、絶対怒ってるよね、どうしよう。」
という感じです。
ひと目見ただけでもうお腹痛くなるくらいの怒りの表情なので、身に覚えがなくてもまず謝っておいたほうがいいと思います。





はい、そんな感じで天龍八部衆の紹介でした。
阿修羅がやっぱり有名なので、他のメンバーやチームとしてはよく知らないという方もいるかと思いますが、他のメンバーも個性豊かで魅力的な面々ですので興味をもってもらえたらうれしいです。

そして、興福寺の八部衆像は本当に素晴らしいので、機会があればぜひ見に行っていただきたいです。


仏教関連が多くなりそうな気がすごくしますが、また他にもいろいろな伝説のチームを紹介できればと思います。

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