天龍八部衆 神話・伝説

46 伝説のチームを紹介する試み 天龍八部衆編①

2024年5月1日

神話や東洋思想について紹介するお絵かきブログの当ブログですが、新シリーズとして伝説に登場するチームを紹介していこうと思います。

名付けて「伝説のチームを紹介する試み」です。

最初に紹介するチームは、仏教を守る、多種族混成ドリームチーム、

「天龍八部衆」

です。


天龍八部衆とは、
仏法を守る守護神(護法善神)でその面々は

天(てん)衆、
龍(りゅう)衆、
夜叉(やしゃ)衆、
乾闥婆(けんだつば)衆、
阿修羅(あしゅら)衆、
迦楼羅(かるら)衆、
緊那羅(きんなら)衆、
摩喉羅伽(まごらか)

の8つの種族からなり、
元々は古代インドの神、鬼神、戦闘神、動物神、音楽神だったものが、お釈迦様の説法を聞いて仏教に帰依。
仏法と仏教徒を守るために集ったというわけです。

八部衆 集合

8つの種族というわけでその姿はいずれも個性的。
現代の私たちがその姿を見れる、最も有名な作品としては、奈良・興福寺の「乾漆八部衆立像(はちぶしゅうりゅうぞう)」があります。

興福寺の八部衆は、
天に当たるのが「五部浄(ごぶじょう)」、
龍に当たるのが「沙羯羅(さから)」、
夜叉に当たるのが「鳩槃荼(くばんだ)」、
摩喉羅伽(まごらか)に当たるのが「畢婆迦羅(ひばから)」となります。

名称が異なるのは、種族の別名なのか個人名なのかわかりませんが、
「各種族の代表者名」という解釈の方が個人的には好きです。

なお、乾闥婆(けんだつば)、阿修羅(あしゅら)、迦楼羅(かるら)、緊那羅(きんなら)はそのままです。
イラストや名前については基本的に興福寺スタイルを踏襲します。




今回は、レペゼン天衆の五部浄と、龍衆代表の沙羯羅を紹介です。

五部浄(天)と沙羯羅(龍)
五部浄

天衆代表、五部浄(ごぶじょう)。

「天」とは古代インドの神様「デーバ神」のことで、帝釈天(インドラ)や毘沙門天(クベーラ)などの神々です。

インドでは現在も信仰されている神様ですが、仏教ではそれらを取り込み仏を守る存在としました。

仏教では尊像、平たく言えば「仏様」には4つの階級があり、
如来、
菩薩、
明王、
天部 
という感じでピラミッドの4番目になっています。

天衆代表の五部浄
簡単に言えば5柱の神様を一尊に集約した存在。
のっけからややこしいことになっております。

仏教では、欲界・色界・無色界という3つの世界「三界」があり、

「欲界」は淫欲と食欲に囚われた我々の世界。
地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道の「六道」に生まれ変わり続けること(輪廻)から、悟りを開いて脱出(解脱)することが仏教の目的です。

「色界」は欲望を離れた清らかな物質の世界で、ここに住んでいる者は欲や煩悩は無いものの、まだ物質や肉体の束縛からは脱却していないと言われています。

「無色界」は欲望も物質的条件も超越し、精神のみの生物が住むいわば究極の境地。
物質は存在せず心の働きだけからなる世界で天界の最上位に位置し、空間も超越する世界だそうです。

五部浄は、欲望を離れた「色界」の、その中でも最上位「色究竟天(しきくきょうてん)」に住んでいる5人の聖者、
自在天子、普華天子、遍音天子、光髪天子、意生天子が合体した姿であり、彼等は浄居天と呼ばれているので、「五部浄居天」=五部浄 というわけです。
古田織部守重然=古織 みたいな感じです。

興福寺の五部浄像は象の冠を被った少年風の姿。
ぷくぷくのほっぺと憂いの表情が魅力ですが、象は陸上で最大の動物とのことで偉大さを表しています。
天という種族の立場もあり、八部衆の中でもリーダー格なのです。

沙羯羅

龍衆代表、沙羯羅(さから)。

2つ目の種族「龍」は「竜」や「龍王」と称される種族のこと。

蛇、特にコブラを神格化したもので、水中に住み雲や雨をもたらす力を持っており、インドでは「ナーガ」と呼ばれてます。

仏典が中国に伝わった際、この蛇神のナーガが「龍(竜)」と訳されて八部衆に取り込まれました。
訳の都合で「龍」になったわけで、もともとは私たちがイメージするドラゴン的な龍というより蛇というイメージですね。

仏教に伝わるエピソードでは、お釈迦さまが誕生した際に清浄水を灌いで祝福したり、
悟りを開く修行の際に、七日間の雨からお釈迦さまを守ったとの逸話もあり、かなり古参のフォロワーです。

「龍王」とされるナーガは実は結構たくさんいて、特に有名な「八大龍王」と呼ばれる8匹の龍族の王がいます。
今回、八部衆における龍衆の代表とする沙羯羅(さから)もその一人。

「沙羯羅」とは「大海」「龍宮の王」「大海龍王」といった意味であり、海の中に住んでいるようです。
その居城はいわゆる「龍宮城」。
日本昔ばなしの浦島太郎でおなじみですね。

竜宮城といえば乙姫様ですが、仏典には第三王女の善女龍王(8歳)という娘が登場します。
第三王女ということは他の姉妹もいるわけで、乙姫様は娘の一人ということなんでしょうか。

ほかの八大龍王についてもまた別の回で紹介したいと思います。

イラストのモチーフにした興福寺の沙羯羅像は頭から上半身にかけて蛇が巻き付き、これまた憂いを帯びた少年のような表情。
他の八部衆と比べても幼い印象で造られており、五部浄と同じくほっぺがプニプニしています。


以上、今回は五部浄と沙羯羅を紹介しました。
次回は夜叉衆の鳩槃荼と乾闥婆衆の乾闥婆を紹介したいと思います。
それではまた次回。

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