ソロモン!ゲットやで! 気になる事柄を学ぶシリーズ 神話・伝説

257「ソロモン!ゲットやで!」シリーズ ソロモン72柱 序列63番・アンドラス

ごきげんよう、ハゲと天パです。

引き続きお送りしますは、
「ソロモン!ゲットやで!」のシリーズ。
かの有名な「ソロモン72柱」の悪魔を紹介しております。
みんな大好きでしょ、悪魔とか。

今回は序列63番、アンドラスという悪魔を紹介。
名前からは、ちょっと怪獣みを感じますね。
そんなことないですか。
そうですか。

果たしてどんな悪魔でしょうか?
お楽しみに。

そして、恒例のB面は今回も好き勝手する感じになっております。
「ああ、またか。」
って感じで、ご勘弁いただければ幸い。

お供は当ブログ公式キャラの彼女たち。

加筆 です。
にぎやかします

修正 です。
しゃしゃり出ます


今回はVer.3.0です。
彼女らについてはこちらをどうぞ。






まずは毎度恒例。
このシリーズの概要からです。


ヨーロッパでは中世後期から19世紀くらいまで
「グリモワール」
という、魔術手引書がバズっていました。

その中でも悪魔や精霊等について書かれてるのが
「レメゲトン」というシリーズ。
5部の書物から構成されるレメゲトンのなかでも、
代表的なやつが「ゴエティア」です。

内容としては、古代イスラエルの最盛期を築いた
ソロモン王が召喚してこき使った悪魔について。

いわゆる悪魔図鑑です

語弊があります


「エルサレム宮殿」を建設した第三代イスラエル王ソロモン。
人間の手では納期に間に合わないので悪魔を使役。
その時に労働させられた72体の悪魔を呼び出して、
いろんな願い叶えちゃお☆(ゝω・)vキャピ
というわけ。

それでは今回の悪魔の登場です。

はりきってどうぞ



アンドラス(Andras)。
30の軍団を指揮する序列63番の大侯爵。

レメゲトンの記述はこちら。

第六十三の精霊はアンドラスである。
彼は偉大な侯爵であり、黒夜烏のような頭を持つ天使の姿で現れ、屈強な黒狼に跨り、鋭く輝く剣を高く掲げている。
彼の使命は不和を撒き散らすことである。
もしエクソシストが油断すれば、アンドラスは彼自身とその仲間を皆殺しにするだろう。
彼は30の精霊軍団を統べる。

ー S.L. MacGregor Mathers and Aleister Crowley, The Lesser Key of Solomon(1904)


天使の体に、黒い鳥の頭を持った姿。
頭については、
「ゴエティア」「悪魔の偽王国」ではゴイサギ
コラン・ド・プランシーはフクロウ
フレッド・ゲティングズはカラスとそれぞれ述べておりバラバラです。

今、デジャブがきたよ!

あら、
よかったじゃない



このくだり、前にもあった?
と思ったあなた、素晴らしいですね。
花マルを差し上げます。
以前のストラス回でも触れてます。


ゴイサギは、ペリカン目サギ科ゴイサギ属に分類される鳥ですが、
この鳥の学名は、
Nycticorax nycticorax 。
種小名、属名ともに、
「夜のカラス」
という意味があり、元々は夜行性のミミズクのことを指していたそうですが、
どうも間違えてつけちゃったようです。

鳴き声はカラスに似てなくもない

「ガー」って鳴く

リンク貼っときますね。

ゴイサギの鳴き声

そんなわけで、我らがコランちゃんによる
「地獄の辞典」の記述にも触れておきましょうね。

こちらです

地獄の大侯爵。
体は天使、頭はフクロウ。
黒狼にまたがり、手に鋭いサーベルを持つ。
気に入った相手には、その敵対者(主従を問わず)を殺す方法を教える。
不和や喧嘩を煽るのを好み、三◯の軍団を従える。



そんなわけでまとめてみると、

ナンバー63の大公爵

30の軍を指揮

体は天使、頭は鳥

黒い狼に乗っている

武器は鋭い剣

不和を煽る能力を持ち、
油断すると召喚者を仲間ともども皆殺しにしようとする。

とのこと。
久々に出てきた、
ナチュラルにやべーやつです。

絶対殺すマンだ

その絶対殺すマンのお姿は次のチャプターで



そんなわけで、
体は天使、頭は鳥、狼にまたがるアンドラスの姿はこちら。

Louis Le Breton, Public domain, via Wikimedia Commons

おなじみ「地獄の辞典」第6版より。
おめめがクリックリですね。
そんな細いヒモで狼を制御できるのか疑問ですが、
両者の信頼の成せるワザなんですかね。

しかし、これはあれですね、
フクロウの顔で表情がわからない分、
ヤバそうな感じがプンプンします。

準備が整っています

殺る気マンマンです


それにしても、
「召喚者を仲間ともども皆殺しにしようとする」
っていう特徴、パワーが強すぎですね。
注意してください。

72柱の悪魔たちは召喚する時、
個々に専用の印章(シジル)が必要なので
間違えるケースは少ないかと思いますが
なにかを間違えて、このアンドラスを召喚しちゃったりしたらイヤですね。

ガチャ方式じゃなくてよかったね

ハズレ扱いでかわいそう

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そういえば、ソロモン72柱の序列って、
たしか、地位や強さ順というわけではなく、
「封印された順」だったはず。
危険な悪魔から封印していったと聞いてましたが、なぜコイツが後まで放置されてたのか謎です。

わりと無害な悪魔も
最初の方に封印されてるわよね

適当だよね


いつも思いますが、
おそらく思いついた順に書いてますよね。
わりと無計画に。
まあ、全然人のこと言えないですけど。


うちのアンドラスちゃんですが、
ほぼ「狼に乗ってる」というところだけを意識して描いたのでオオカミ少女になりました。

お面とか露骨に某プリンセスですね。
あのお面、フクロウっぽくないですか?
大好き。

山犬と暮らしてるのに、
服とか武器とかお面は誰が作ったのかな

黙れ小僧!

言及はされてないですが、
サンが自分で作ったんじゃないですかね。
昔の人だし。

昔の人、器用

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ブルーレイとDVDって
どっちがうれしいのかしら?



あと、髪の毛は鳥っぽくして、
オオカミは頑張って描きました。

そんなわけで、アンドラスはここまでだ!

ここからはB面です

この流れだと、
オオカミ回かな?


はい、オオカミについて書くと思いましたか?
ところがどっこい相撲はどすこい。

今回のB面は、
みんな大好き、スタジオジブリの名作、

もののけ姫」について
ディープめに書いていきます。

きっかけは、今回のキャラデザがもののけ姫を意識したからですが、
実は私、
ジブリ作品ではもののけ姫が一番好きで、
もののけ姫ガチ勢を自認しています。

知らないよ!

ちなみに2番めはぽんぽこ

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平成狸合戦ぽんぽこは、
子供の頃はそんなにですが、大人になると面白いですよね。

おもいでぽろぽろも同様

ラピュタとかがよかった


はい、それではいきましょう。

言わずとしれた名作、「もののけ姫」。
1997年7月12日に公開されたスタジオジブリ制作の日本のアニメーション映画です。

原作・脚本・監督はもちろん宮崎駿
宮崎監督が構想に16年もかけた大作で、
当時の日本映画の記録をすべて塗り替えた伝説的な作品ですね。

ちなみに興行収入は201億8000万円
1982年に公開された「E.T.」を抜き、日本歴代興行収入第1位を記録
日本アカデミー大賞最優秀作品賞を受賞した史上初のアニメ映画でもあります

オウチカエル

アニメの立ち位置を学術的、批評的な議論の対象となる
「芸術」
へと変える礎を築き国際的にも広く認められ、今なお愛される作品です。

そんな「もののけ姫」、
1997年の映画なんで29年前の公開。
もうほとんど30年前の作品。
2026年にもののけ姫を語る勇気!

御存知の通り、世界観が魅力的ですが
練り込まれた情報量も膨大なので、
個人的に
「もののけ姫のここがアツい!」
というポイントを絞って語っていきます。

ではさっそくいきましょう!

まず目次的に語りたいトピックを紹介。
ふんわり時系列順で4つに絞りました。

4つもあるの!?

これでもがんばって絞ったのよ


①まつろわぬ民、エミシ。
歴史から消された「敗者の誇り」

②鉄と火薬
人類が手に入れた神殺しの力

③森と神を巡る仁義なき戦い
森と人の壁、利権を巡る人間の争い

④原生林から里山へ
神殺しに込められた祝福と呪い


ほら、なんか面白そうでしょ。
「もののけ姫」なんて親の顔より観たわ。
と皆様もきっとお思いでしょうが、
もう一度、観返したくなると思います。

親の顔はもっと見てください



では最初のトピックから。
まず、作品の時代背景から言及しますと舞台は室町時代の日本です。

恐らく15世紀後半から16世紀
戦国時代の入り口あたりがモデル

この頃は朝廷や幕府の権威が失墜し、
力を持った大名たちが下剋上とか言い始めた頃ですね。
劇中でもあるとおり、火薬など技術の革新によって人類が力を持ち、
それまで畏怖の対象だった「自然」や「神」を克服し始めた頃と言えます。

そんな時代設定ではありますが、
物語は、時代の流れとは一線を画したエミシの村から始まります。

この村は、東と北の間にあるといわれる隠れ里。
そこでひっそりと独自の文化を守りながら暮らしているのがエミシの一族です。

エミシ一族は、劇中の時代からさらに500年前、
ヤマト(大和・大和朝廷)との戦いに破れた民族で
主人公のアシタカは衰亡していく一族の数少ない若者であり、
ゆくゆくは族長となって一族を率いる為の教育を受けた青年。

時期族長にふさわしい気品と強い正義感を持ったイケメン

しかもフレッシュな17歳

ある時、村を襲ったタタリ神に矢を放ち、
鎮めることと引き換えに死の呪いを受け、育った村を追われて西へと戻らぬ旅にでるのであった。

と、物語のプロローグはこんな感じですが、
かつて朝廷という権力に抵抗した「まつろわぬ民」の末裔という設定がアツい。

さらにアツいポイントとして、
アシタカが単なる「村の少年」ではないところ。

宮崎監督の設定では、
アシタカは、かつて朝廷軍と勇敢に戦った、勇者アテルイ(阿弖流為)の血を引く高貴な生まれだそうです。

アテルイは、平安時代初期、
征夷大将軍・坂上田村麻呂が率いる大和朝廷軍を相手に、東北の地で壮絶な抵抗を続けた蝦夷(えみし)のリーダー。
彼は最後、平和のために降伏しますが、戦いの中で彼を認めたライバル田村麻呂の嘆願もむなしく、朝廷によって処刑されたというストーリーがあります。
ムネアツですね。

だからアシタカめっちゃ強いんだね

呪いブーストもあるけど、
敵が放った矢を掴んで打ち返すとか身体能力がおかしい

あ、今回ネタバレありで行きます。


また、エミシの一族たちが独自の暮らしや文化様式を持っているのも刺さります。

エミシの村は劇中の冒頭数分しか描かれませんが、
「大和王権に敗れ、時間を止めた人々」の文化が凝縮されていてとても好き。

宮崎監督によると、
エミシは大和政権とその支配下に入った稲作農耕民から追われて本州北部の山中に隠れ住んだ、焼畑・狩猟・採集・工芸を生業とする原日本人の残党。
とのことで劇中に登場する、村の生活様式や文化、建築や人々の衣装については、
縄文時代やアイヌ文化などの古代日本の要素を融合させた稲作以前の古い様式だったり、ブータンや北タイの焼き畑圏など照葉樹林文化圏の物をモデルにしているそうです。
アシタカたちが自然と共生し、独自の文化を守りながら暮らしている様子が描かれていますね。


大和が天皇を中心とした中央集権に移行した一方、
エミシの村は巫女であり長老のヒイ様がト占(ぼくせん)によって運命を決める、極めて古い祭政一致の形態をとっています。

劇中ではアシタカが呪いを受けた際、
神社で御神体である岩の塊を拝み、
石を投げたり並べたりしてアシタカの運命を占ってますね。
これは縄文時代から続く「石」を神体とする信仰の名残あり、
彼らにとって、神は「拝む対象」ではなく、占いや兆しを通じて「対話する対象」だったんですね。

その他もディティールが魅力的ですが、
例えば、アシタカやカヤが持つ刀。

これは刀身が直線的で先が尖っている蕨手刀というタイプ。
これは東北地方を中心に8世紀ほどまで作られていたそう。
生活雑器でもありますが武器としても使用され、
坂上田村麻呂と戦ったエミシの軍勢も小タイプの刀を持っていたと考えられているそうです。

また、旅立ちのときに、
カヤが黒曜石の守り刀をアシタカに渡しているシーンも印象的。
未婚の女性が守り刀を男性に渡すという行為は求婚の証で、
カヤが決して戻らないアシタカに守り刀を渡すということは
一生未婚のまま人生を全うすることを暗示しているそうです。

その刀をアシタカは他の女に・・・

黙れ小僧!


500年もの間、自分たちの存在を隠し続けてきた彼らは
朝廷(天皇)に従わず、自分たちの神と文化を守り抜いた「まつろわぬ民」。

しかもその英雄の末裔であるアシタカが、
呪いをまとって大和の勢力圏である西へ旅立つという図式になっており、
かつてアテルイが大和に敗れ、エミシの誇りが踏みにじられた歴史をアシタカは「村を追われる」という形で再体験している形。
一族の過去の敗北と、自分自身の未来の死を同時に背負って旅に出るという激重スタート
とか、めっちゃ刺さりますよね。


そんなわけで村を出たアシタカ。
タタリ神の体から出てきた「鉛のつぶて」を手がかりに、西で何が起こっているのかを知り、見定めるために旅を続けます。

途中で狼藉を働く地侍を成敗したり、
みだりに砂金を出して狙われたり、
謎の坊さんに雑炊をたかられたりしながらエボシ御前が治める製鉄施設、タタラ場にたどり着きます。


鉄を作るには燃料が大量に必要。
それこそ山1つなくなるレベルで木を消費するわけで自然破壊がヤバすぎMAX。
近隣の森に住む動物達としても、
ぼくらの住処を奪われるわけにはいかないと徹底抗戦バッチバチ。
エボシ率いる人間達と森の動物達の間では、
血で血を洗う抗争が繰り広げられていたのでした。

アシタカの村を襲ったタタリ神も、
その正体は、このタタラ場の近くにあるシシ神の森に住んでいる巨大イノシシ、ナゴの守であり。
彼を苦しめ、タタリ神へと変えた鉛玉はエボシが撃ったものだったのです。

奇遇だね


元来、神が住む原生林や、
そこに住む、ナゴの守のような巨大生物は
人々からも神聖視されており、神様扱いされてたわけなんですが
最新技術の火薬や石火矢という強力な武器を手に入れた人間は、
畏怖の対象であった自然を、そして神をも克服する力を得てしまったわけです。

そんなわけで重要なキーワードが「神殺し」

この言葉で浮かぶのは、ジェームズ・フレイザーの「金枝篇(きんしへん)」ですね。
フレイザーは世界中の神話を分析し、
「衰えた王(神)を殺すことで、その霊力を新しい存在に引き継ぎ、世界の活力を再生させる」
という儀礼を見出しましたが、
「金枝篇」の大きなテーマの一つに、
人類の思考は「呪術→宗教→科学」へと進歩するという説があります。

「もののけ姫」の物語は、
森に神がいて、畏怖していた呪術の時代から、
宗教と科学の時代に思考のパラダイムシフトが起きる瞬間を切り取った物語であるといえます。

エボシ達人間サイドが使う石火矢については、
単なる武器ではなく、人間の「科学への信仰」の象徴であり、エボシがナゴの神やシシ神を撃ったのは憎しみからではなく、
人間が人間として自立するための「通過儀礼」だったとも取れます。

これはもう、
フレイザーが描いた人類史の縮図そのものだといえないでしょうか。
まあ、知らんけど。

「金枝篇」は、
我々の業界では出したいワードベスト5に入るやつ

どの業界の話?


さて、ここで登場した神殺しの申し子、エボシ御前
タタラ場を治める敏腕経営者ですが、
彼女は元々製鉄界隈の人というわけではなく、
「倭寇(海賊)」の親分の妻に売られ、そこで苦労しながら海外の最新知識(火器や組織運営)を学び、
やがて親分を殺して日本へ戻ってきたという壮絶な過去を持っている人物だそうです。

そんな彼女の「野心」と「能力」に目をつけた大きな存在が、
武力(石火矢)と資金(タタラ場)を提供し、
ある目的のために彼女をシシ神の森に送り込んだのがタタラ場の始まり。

さあ、気になるよね。

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そんなわけで、敵対するタタラ場とどうぶつの森。

この森にはシシ神というすごい神が住んでいて、
犬神の長、モロの君が森を守っているという図式。

モロは御歳300歳になるメスの山犬で、
非常に高い知能と威厳を持ち、他の動物神たちからも一目置かれる存在。

森を侵し神々を滅ぼそうとする人間たちと敵対し、
特にそのリーダーであるエボシを激しく憎み、執念深く命を狙う一方、
人間に捨てられた少女、サンを拾い、自らの娘として育ててます。

アシタカが滞在していた折、サンがタタラ場を襲撃。
サンとエボシの一騎打ちの間に入り、
アシタカは石火矢で撃たれ傷を負います。

そして、アシタカがサンに介抱されている間に事態は大きく動き、
森と人との争いにとどまらず、各勢力の思惑が絡み合う大きな戦いが始まるのでした。

あらすじがだいたい把握できたところで、そそるポイント。
この物語は「自然 vs 人間」という対立の中に、
「人間同士のドロドロとした利権争い」が重なり合う二重構造になっています。

それぞれの勢力と目的を整理しときましょう。

勢力1
タタラ場(エボシ御前)

目的:技術革新と生存
エボシの目的は、単に金儲けをすることではなく、
当時の社会で「呪われた者」とされた病者や、売られた女性たちを「戦力」として再生させ、古い権力が手出しできない独立国家を作る事。

そのためには、圧倒的な経済力(鉄)と武力(石火矢)が必要ですが、
そこでサポートを申し出たのが、この国の権力者である帝に近い師匠連という組織。
彼らとしても、自分たちが手を汚さずに、シシ神を狩りたいという目的があるので、エボシに以下のリソースを提供しました。

・リソース1 石火矢衆(武力)
師匠連の配下である40人の石火矢のプロ。

・リソース2 製鉄技術と山(資金源)
シシ神の森付近の土地と、そこで鉄を焼く権利(あるいは技術)。

・リソース3 大義名分
朝廷や権力者の影をちらつかせ、地侍(アサノ公方など)の干渉を一時的に抑える後ろ盾。

しかし、エボシも大人しく従うタイプではないので
「リソースを利用して神も侍も恐れない自分の国を作るぞ」
という野望を持ちます。

また、彼女にとって森の神々は、製鉄にとっての邪魔者であると同時に、
人々を恐怖で支配する「古い秩序」の象徴でもあります。
力を持ち、神を殺すことは、
人間が自分の足で立つための「独立宣言」でもありました。


●勢力2
師匠連(ジコ坊)

目的:シシ神の首の奪取による組織の地位向上
彼らの目的は、不老不死の力を持つシシ神の首を時の権力者(帝)に献上し、組織の立場を盤石にする事。
もしかしたら、その見返りに莫大な富を得る。
という思惑があったのかもしれません。

首は欲しいが自分たちの手は汚したくない。
そのため、彼らは戦場には立たず、
情報を操って勢力図を以下のようにコントロール。

・コントロール1 リソースの提供
石火矢の技術(あるいは職人)をエボシに提供する代わりに、命懸けの「神殺し」を彼女に実行させました。
「石火矢を貸してやるから、シシ神の首を取ってこい」という投資ですね。

・コントロール2 第三勢力の扇動
朝廷からの命令という大義名分を与え、地侍のタタラ場への介入を牽制していた師匠連でしたが、
エボシの野望を重く見て、神殺しの際、侍がタタラ場を襲うのを黙認。
あるいは手を回して助長することで、エボシを孤立させ、シシ神狩りという自分たちの目的に従わざるを得ない状況に追い込みました。

ジコ坊の役割は、現場でエボシへの協力と同時に監視でもあったわけです。


●勢力3
侍(アサノ公方)


目的:タタラ場の強奪と支配
彼らはいわゆる地域の地侍。
戦国時代へと突入する中、良質な鉄は軍事力の生命線なので、
自分たちで汗をかかずに、エボシが作り上げたインフラと富を奪うことが目的。

朝廷に近い師匠連の牽制により、タタラ場には手を出せない状況でしたが、
神殺しに赴くエボシの不在なら乗じてタタラ場に攻め込みます。

アシタカが「もう戦はやめろ」と言っても聞く耳を持たない彼ら。
彼らにとって自然や神はどうでもよく、「金と領地」がすべてです。

三者の関係性は絶妙なバランスで成り立っており
「利用し合う」関係にあります。

まとめるとこんな感じ


エボシは、侍の襲撃を防ぐために、師匠連のバックアップ(最新兵器)を必要とした。

師匠連は、自分たちの手を汚さずにシシ神を狩るために、エボシの実行力と執念を利用した。

侍は、エボシがシシ神狩りで留守にする隙を狙って、タタラ場を奪おうとした。

そんな感じでそれぞれの思惑が絡み合い、
ドロドロの人間たちですが、
一方の森の勢力としては、鎮西(九州)の乙事主が率いるイノシシ一族が山犬一家に合流。
人間に最終決戦を挑みます。

イノシシたちの目的はファミリーの一員であったナゴの仇討ち+人間の排除。
勝ち目よりもイノシシの誇りを優先し、人間を滅ぼすべく特攻していくのでした。

このように、戦局は四つ巴の様相を呈していきます。

最終的に、人間の思惑や動物たちの奮闘空しく、
シシ神の首は狩られますが、その体から不気味なドロドロが大量に飛び散り、それに触れた者たちは死に、木は枯れていく地獄絵図
やがてドロドロは津波のような勢いで山を埋め尽くし、森は枯れ果てて、タタラ場も壊滅してしまいます。

サンは、森が死んだと絶望し人間に対する憎しみを爆発させますが、アシタカはまだ望みはあると彼女を説得。
二人は協力して、シシ神の首を持って逃げようとするジコ坊を止め、首をシシ神に返します。
シシ神は首を取り返すも、朝日を浴びると同時に地に倒れて消えてしまいました。
その瞬間に風が吹き、枯れ果てた山には僅かながら緑が戻り、アシタカの腕の呪いも消えたのでした。


シシ神の死によって、神が住む太古の原生林は滅び、代わりに全く違う、里山という自然が生まれます。
これは人間が自然を、
「畏怖の対象(神)」から「管理の対象(資源)」
へと変えた瞬間であり、
まさに、フレイザーの「金枝篇」の通り、「神殺し」による生命の更新です。

そもそもシシ神の森に代表される太古の自然は、
人間にとっては「異界」であり、人を食らう山犬や、言葉の通じない神々が支配する世界。
人間はそこでは単なる「獲物」か「異物」でしかない存在です。

人間が原生林で生きることはできず、
もしそこに留まり、家族を養い、社会を築くなら、
木を切り、鉄を掘り、神の領域を侵食して「人間が住める場所」へ作り変える必要があります。
劇中でエボシがやっていることは破壊ですが、
同時に「人間が神による理不尽な死から解放されるための自立」でもあるというわけ。

フレイザー的な視点で言えば、
神を殺した後の世界に残された選択肢は
自然を徹底的に搾取し、不毛の地にする完全な死
神を殺した罪を抱えながら、自然を「管理」し、適度な距離で付き合う共生になります。

「もののけ姫」のラストで描かれた緑は、
里山という森と人が共に生きていける妥協点。
人間が森という圧倒的な他者にコミットするには対等な関係は不可能であり、
神のままではひれ伏すしかなく、資源にすれば滅ぼすしかない。
だからこそ、
「神を格下げし、適度に手入れをすることで恵みを分け合う」
里山という形態が、歴史的な落とし所だったのですね。

また、「金枝篇」の理論から拝借するなら、
神殺しは発展と引き換えに自然を破壊してきた人間の業をシシ神に背負わせ、
それを殺す事でリセットするというスケープゴートの儀式だったとも取ることができます。


シシ神が消えたことでアシタカの呪いは解け、命を蝕んでいた黒いアザも消えました。
しかし、よく見ると皮膚にはアザの形をした「白い痕」がうっすらと残っています。
このことの意味をフレイザー的な視点で解釈すると
「王の継承」としての刻印であり祝福と呪いであるといえます。

「神殺し」理論では、古い王を殺した者はその霊力を引き継ぐ者となります。
アシタカはシシ神に首を返した当事者であり、いわば「神の死を見届け、看取った者」。
あの白い痕は、神がこの地上に存在したという唯一の証人であり、
神の霊力の一部をその身に宿した「次代の王」としての聖痕であると考えられます。

また、フレイザーは、
人類が呪術という幻想を脱ぎ捨てていく過程を記述しました。
物語のなかで、アザが黒かった時は「呪い」という呪術の力でしたが、
アザが白くなった時、 それは「歴史(記憶)」に変わったと考えられます。

アザがアシタカの命を奪うことはありませんが、消えることもありません。
これは、人間が自然(神)を打ち負かし、管理下に置いたとしても、
「かつて神を殺した」という原罪だけは、人類の歴史に永久に刻まれ続けることを象徴しているのではないでしょうか。

作品のラストは、倒れた一本の大木の上に芽生えた若木の横に1体のコダマが現れて、
頭を動かしカラカラと音を立てる場面で終わります。

このコダマが、長い時を経てトトロにメガシンカしたという設定がありますが、
「もののけ姫」「となりのトトロ」「平成狸合戦ぽんぽこ」の3作を見るのも興味深いですね。

「もののけ姫」で描かれた「神殺し」から始まり、
「トトロ」での「幸福な共生」を経て、
「ぽんぽこ」での「決定的な敗北と消失」。
日本の精神史における「自然との距離感の変遷」が残酷なほど浮き彫りになります。

もはや里山すら失いつつある現代の私たちは、
かつて神として畏怖と敬意をもっていた自然を
「画面越しの風景」か「ただの資源」としてしか見ていないのかもしれませんね。
それは良いことなのか、悪いことなのか。
自然との関わり方がより良いものになることを祈る次第です。


そんなわけで結構濃いめに語ってみました。
本当は石火矢以外の兵器だったり、
人間でありながら山犬として生きるサンの葛藤とアイデンティティだったり、
作品の背景に根づいている、「照葉樹林文化論」にも触れたかったのですが、
もう脳みそが限界です。
気になるあれこれを書き殴るお絵描きブログには荷が重かったな。
また機会があればぜひ。

そんなわけで、
アンドラスともののけ姫の回でした。
あれ?
カヒちゃんとシューちゃん、もう帰っちゃった?

ごめん、寝てた
もう終わった?

コメダ寄って帰りましょ


はい、ありがとうございました。
次回もよしなに。



============



このブログは、気になったことを調べ、
学んだ内容とイラストを紹介するお絵描きブログ
ソースは主にWikipediaなどになりますので、
学術研究ではなくエンターテイメントとしてお楽しみください。

興味のきっかけや、ふんわりしたイメージ掴みのお手伝いになればうれしいです。

アンドラス-wikipedia
もののけ姫-wikipedia
ジェームズ・フレイザー-wikipedia
金枝篇-wikipedia


参考書籍:
悪魔解説書「ソロモン72柱の悪魔」 | マーク・アイシャーウッド
「地獄の辞典」コラン ド プランシー (著), 床鍋 剛彦 (翻訳)

【中古】 地獄の辞典/コランド・プランシー(著者),床鍋剛彦(訳者)

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