せかいのやんちゃ神 図鑑 気になる事柄を学ぶシリーズ 神話・伝説

185 せかいのやんちゃ神図鑑③ アナンシ(西アフリカ神話)

ごきげんよう、ハゲと天パです。

ひきつづき、

せかいのやんちゃ神 図鑑 シリーズ。

です。

世界中で伝わる各地の神話。
神話には、物語をひっかき回すやんちゃくれがつきもの。
いわゆる「トリックスター」です。
そんな やんちゃ神 にスポットを当て、
紹介していくシリーズになります。

ナビゲートするのは、
ウチの公式キャラのこの2人。

加筆 です。
にぎやかします

修正 です。
しゃしゃり出ます

2人合わせてペンドラゴンズ。
彼女らについてはこちら。







トリックスター。
神話や物語において、秩序を破壊し物語を盛り上げる存在。

ときに悪意を持って盗みやいたずらを行いますが、
乱暴者だったり、一癖ある知恵者だったり、
はたまた愚か者という場合もあります。

悪事を働いたり騒動を巻き起こすものの、
最終的には良い結末になるパターンが多く
いたずら好きの憎めないキャラで描かれる事が多いです。

やんちゃとはいえ、
神様だから失礼ないように

いちばんタチ悪いじゃん

善と悪、破壊と創造、賢者と愚者など、
二面性を持っているのが彼らの特徴。
食物や火、知識などを人間にもたらす、
「文化英雄」という一面を持つことも往々にしてありますね。


ちなみにトリックスターという言葉は、
ネイティブアメリカンの民話の研究から命名された類型だそう。
かの心理学者 ユングは、
「人間のより初期の未発達な意識の段階の反映」
と見ているのだそうです。

それでは本編、始めていきましょう。

誰だ?私を呼び出したのは

今回はアフリカ神話から
アナンシさんです

脚がかっこいい!

あら、ありがとう

アナンシさんについて


アナンシは、
西アフリカの伝承に登場する重要人物にして英雄。
その姿は蜘蛛、もしくは人間、あるいはその両方として描かれます。

中間形態ってかっこいいよね!

よくわかってんじゃん


本来、アナンシは男性の神様ですが、
「蜘蛛のビジュアルなのに、
女の子じゃないなんてもったいなさすぎる」

という思想に基づいて女性キャラになりました。

そして今シリーズはちゃんと伝説に基づいて忠実に描くつもりでしたが、
「蜘蛛なら脚はメカにしないと」
という思想に基づいてこうなりました。

さっそくやりたい放題ですね。


そんなわけでのアナンシ、
お話の中では、悪知恵をめぐらせて
他人を騙し食べ物などを巻き上げようとするものの
結局失敗する
おっちょこドジっ子
として描かれることが多いです。

まずは有名な
このお話を紹介します。




むかしむかしという名前の魔女がいました。

五!?

トリッキーすぎるよね

トリックスターをして、
トリッキーといわせる
ネーミングです


ともあれ魔女の五は自分の名前が気に入っておらず、
人々が自分を五と呼ぶのが嫌で仕方ない。

ある朝、魔女は儀式を行い、
「五と言う言葉を言った者はその場で死ぬ」
という呪いをかけます。
特定の人に対しての呪いではないところに
スケールの大きさを感じます。

突拍子もない呪いね


そんなところを覗いていたのがアナンシ。
この呪いを利用しておいしい思いをしようと
悪だくみをめぐらせます。


翌朝、
市場へつながる道へやってきたアナンシは、
サツマイモの山を五つ道ばたにつくり、
誰かが通るのを待ちます。

やがて通りがかったのがアヒルの奥さん。
アナンシはアヒルに話しかけて
「穫ったサツマイモで山を作ったんだけど、
頭が悪いから、何山作ったかわからない。代わりに数えてくれ」
と依頼。

アヒルは快く、
「一、二、三、四、五」
と数えますが、呪いで死んでしまい、
アナンシはアヒルをぺろりと平らげます。

おいしい思いが、ほんとに
おいしい思いだった


次に通りかかったのがウサギの奥さん。
同じように数えることを依頼し、
呪いで死んだウサギを食べてアナンシは満腹。

今度はハトの奥さんが通りがかったので、
こいつもいただいてしまおうと
同様にけしかけるアナンシ。

だがしかしおすし、
ハトは四の次の数を知らなかったので、
「一、二、三、四、
それから、わたしの乗っている分」
と独特な表現で数える始末。

何度やっても知らないものはわからず、
業を煮やしたアナンシは、
「違う!こうやって数えるんだ!
一、二、三、四、五」
と数えた途端にばったり倒れて死んでしまいました。

おしまい。

死んじゃったよ!

身も蓋もないよね

ライトな感じで死んじゃうところが、
神話っぽいですね。

この話は、
童話として有名なやつです



アナンシの伝承は、
ガーナの内陸部にアシャンティ王国を興した
アシャンティ族から始まり、
後に他のアカン諸族に広まったとされています。

アカン人の宗教は、
「神・精霊・祖先の霊」
という3つで体系。

神は、天空神ニャメに代表される全知全能の存在。
ちなみにニャメは、
オニャンコポン という素敵な名前でも呼ばれています。

精霊は野原や森などあらゆるところに存在しますが
その中でも人と関わりを持つようになったものを
アボソムといいます。

神と人とは直接やり取りができず、アボソムが仲介。
それぞれのアボソムには人間の司祭がおり、
病気のときに薬を処方したり、
呪いや悪意がある精霊に対処するとき、
司祭は精霊に祈り導いてもらうというわけです。

人と神が関わりを持たず精霊が仲介するという、
このスタイルの背景は、アシャンティ族に伝わる
オニャンコポンの神話にみることができ、
こんなお話。

昔、オニャンコポンは
人間と近いところで暮らしていたのですが、
あるとき一人のおばあさんが、
ヤムイモを臼と杵でついていた拍子に、
杵がすっぽぬけてオニャンコポンに命中

オニャンコポン的にはかなりショックだったようで
それ以来、天へ行ってしまったとのこと。
おばあさんは多くの人に臼を集めさせ、
オニャンコポンのいるところまで届くよう高く積み上げます。

ところが、天に届くには臼1個分足りず、
おばあさんは
「一番下の臼を抜いて上に積んで!」
と指示。
もちろん臼の塔は崩れ、多くの人が死んでしまったとか。

そりゃそうだよね。

うっかりさんね

そんなわけで大きな被害も出て、
神と人の間の交流は断絶。
精霊が間を取り持つことになったそうです。

ちなみにニャメとオニャンコポン
あるいは全宇宙の神オドマンコマは、
同一の存在で別名であるとされたり、
最も崇高な三人組であるとされたり、
わりとあいまい。

オニャンコポンとは、
「神(ニャメ) + 単一性 + 偉大さ(Nyame + ko + pon)」
だとしたり、
別の存在とする場合は、
ニャメは宇宙の創造主、
オニャンコポンを生命の創造主、
オドマンコマはこれらを調整して世界を成り立たせるもの
として三位一体の存在と考えたり、
また、ニャメが月の女神、
オニャンコポンが太陽の男神
とする説もあるそうです。

統一しといてよ


とりあえず言いたいこととしては、
「オニャンコポン」って、
何回でも言いたくなりますよね。

私の話まだ!?



それでは話を戻してアナンシについて。

アナンシの物語はいろいろとありますが、
その物語群はアシャンティでは「アナンセセム」
スリナムでは「アナンシ=トリ」と呼ばれ、
アフリカの人々が奴隷として連れて行かれた
カリブ海の地域でもよく知られ、親しまれています。


アナンシは、
天空神ニャメを父に持ち、その代理として活躍。
一部の物語によると、
アナンシは太陽、星、月の創造に関わったり、
雨をもたらして火災を止めたり、
人々に農耕技術を教えたという伝承が残っています。

意外とスケールが大きい

アヒルを騙して食べた人と
同じ人とは思えない


また、世界中の知恵を集めて
瓢箪に封じ込めようとしたというエピソードも。
結局のところ、知恵を独占することの虚しさを悟って知恵を解き放ったので、
人間に知識をもたらした文化英雄だともされます。

知識は広めてナンボよね


また、アナンシはいろいろな民話に登場しますが
登場する民話を持つ文化の多くで、
「すべての物語の王」となったというエピソードがあります。

称号がかっこいいな!

そう!かっこいいのよ!



原型となるアシャンティのバージョンによると
ある時アナンシは、
「すべての物語の王」
の名がほしいと天空神ニャメに乞います。

ニャメは
「短剣の歯のジャガー」、
「火の針の雀蜂」、
「人がまだ見ぬ妖精」

を捕らえることができたら「物語の王」にしてやろうと言います。

かぐや姫ばりに
「無理ゲーふっかけて、あきらめさせよう」
というニャメの目論見でしたが、
アナンシは承知し、機転をきかせて
ジャガーをだまして縛り上げ、
スズメバチにも嘘をついて瓢箪に閉じ込め、
妖精もだましてゲット。
これらの獲物をニャメに差しだし、
「すべての物語の王」となったそうです。

全部だましてんじゃん


知恵を駆使してだます知恵者アナンシですが、
逆にだまされることもあり、
「アナンシとねばねばにんぎょう」という話では
畑の作物をたびたび盗んでいたアナンシが、
畑の所有者が設置したねばねば人形に
ケンカをふっかけて捕らえられます。

ねばねば人形
というパワーワード

作物が減っていることに気づいた農家が、
泥棒を捕まえるために、
ゴムの木の樹液(もしくはタール)で粘着性のある人形を作って畑に設置。

盗みに入ったアナンシが、
人形を人だと思って話しかけるも、
無反応の人形に腹を立て、殴る蹴るしたら
くっついて逃げられなくなり御用。

なんとか逃れたアナンシは木の上に小さくなり、
木の上で巣を作る蜘蛛になったとか。


ちなみに、この「ねばねば人形」は、
「タールの赤ん坊」とも言われており、
英語で「タールベイビー」は、
くっついたら離れないことから、
抜き差しならない泥沼状態を意味するとか。

なお、黒人に対する蔑称でもあるようで、
あんまりむやみに使わない方が良いみたいです。




そんなわけで今回はアフリカのやんちゃ神、
アナンシでした。

西アフリカや、ジャマイカのあたりでも
親しまれ愛されている人気者でした。




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アナンシ-wikipedia
オニャンコポン-wikipedia
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