なんそれ妖怪図鑑 気になる事柄を学ぶシリーズ 神話・伝説

125 四十七都道府県なんそれ妖怪図鑑⑧ 茨城県・イクチ

ごきげんよう、ハゲと天パです。
引き続きお届けいたします、

四十七都道府県なんそれ妖怪図鑑

のシリーズ。
日本の47都道府県を代表する妖怪を紹介する試みです。

日本には数多くの妖怪たちがいますが、
中にはよくわからない悪さをするやつらもけっこういます。
そんななかでも極力「なんそれ?」という妖怪をセレクトして紹介していきます。





北の端から南の端へ、
北海道to沖縄で進めている今回のシリーズ
前回までの北海道・東北編に続き、今回からは関東編。

前回紹介の福島県代表オンボノヤスは、
霧を吹きかけて遭難させるという山の妖怪でした。

がらっと変わって今回は海の妖怪をおとどけです。

イクチ

茨城代表・イクチ




イクチは、茨城県に伝わる海の妖怪。
津村淙庵の「譚海」や、根岸鎮衛の「耳袋」といった江戸時代の随筆に記述があります。

「譚海」によれば「ゐくち」は常陸国(現・茨城県)の沖にいた全長の長い怪魚とされ、
特徴として、色がウナギのようで、
太さはさほどでもないようですが全長はとてつもなく長く、なんと体長数百丈。

以前、四凶編・檮杌回でご案内しましたが、
今の日本の尺貫法で計算すると、1丈=3.03m。
100丈で300m(Wikipediaによると100丈=333m)なので数百丈となるとすごい長さ。

ちなみに、古代中国では、18cmが1尺で10尺で1丈なので1.8m。
元々は成人男性の身長を基準とした身体尺であったと考えられ、
「丈夫」という言葉は元々、身長1丈の男という意味で、つまり「一人前」という意味が由来だったよ。というお話。
まあ余談ですけど。

西海や南海に時折現れ、夜になると船をよじ登り、
「ちょっと通りますよ。」と通過していきますが、
いかんせん、とてもロングなボディなので、
船を乗り越え終えるのに2.3日かかるそうです。

しかも、体表からは粘着質の油が大量に染み出しており、
乗り越えた後にはこの油で船の甲板はヌルヌルのネッチョネチョ。
前も後ろにも歩きづらくなり難儀しますが、
この油を汲み出して除去しないと、船は沈没します。
なんそれ?WWW

「耳袋」では「いくじ」の名で述べられており、
だいたい内容は似たようなものですが、
船の舳先などに引っかかり、2、3日もそこでうごめいているとしています。

なお、「いくじ」の小さい個体が、豆州八丈(現・東京都八丈島)の海にみつかり、
「ウナギ状のものだが、目や口がなく、輪っかのように丸まる」、
大型・成体の個体は船の舳先に垂れ下がるのではなく、
実際は輪っかが丸くなって回転する。
と、わりとどっちでもいい感じの見解もあります。

あと、「いくじなし」の由来は、「いくじ」であるともいわれるそう。
一生に一度くらいは「いくじなし」と罵倒されてみたいですよね。
・・・あ、そんなことない? そうですか。


おなじく江戸時代の画家・鳥山石燕は、
「今昔百鬼拾遺」で「あやかし」の名で巨大な海蛇を描いていますが、
添え書きによれば、

西国の海上に現れて船に乗りあがり、
この「長いもの」が船を越えきるまで2、3日もかかる。
おびただしい量の油を出し、船員がこれを汲み干せば大事に至らないが、それをせねば沈没する。


とのこと。
この記述より、石燕のあやかしとは、イクチであると言われています。
なお、「あやかし」という大雑把な名前ですが、あらゆる海の怪異をさす言葉でもあるそうです。

なお、石燕による「あやかし」の妖怪画、
未確認生物(UMA)の シーサーペント と酷似しているので、
「イクチってシーサーペントなんじゃね?」として、
怪魚ではなく未確認の巨大なウミヘビの一種であるという説があるんだそう。

また、石燕の英訳者らは「あやかし」の「長いもの」を、
一本の「巻きひげ」=触手 ととらえて「巨大タコや巨大イカなんじゃね?」と考え、
西洋のクラーケン伝説を、江戸人が知って取り入れたのではないか?という考察もあるそうです。

地球の7割を占める海ですが、実はまだわずか15%くらいしか解明されていないんだとか。
まあきっと我々が知らない生き物もいるんでしょう。
海は広くて大きいですね。

他にも、海で溺死した人間たちの亡霊や魂が集まったのがイクチであり、
仲間を道ずれにしようとしているのだ、という説もあるそうです。
なんか、ぽいね!


まあそんなわけで、関東編のトップバッター。
海のヌルヌルモンスター、イクチでした。
ちなみに顔の横についてる赤いのは、ツノじゃなくてエラです。

次回は栃木県です。



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イクチ-wikipedia

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